ビットコインの買い方を3ステップで解説 初心者向け取引所も紹介

ビットコインの買い方を3ステップで解説、初心者向け取引所も紹介

近年、ニュースやインターネットで「ビットコイン」という言葉を耳にする機会が増えました。新しい資産の形として注目を集める一方で、「どうやって始めたらいいのか分からない」「なんだか難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ビットコイン投資を始めたいと考えている初心者の方向けに、ビットコインの基本的な仕組みから、具体的な買い方、安全な管理方法、そして知っておくべき注意点まで、網羅的かつ分かりやすく解説します。専門用語も丁寧に説明しながら進めていくので、知識が全くない方でも安心して読み進められます。

この記事を読めば、ビットコイン取引を始めるための具体的なステップが明確になり、自信を持って第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

ビットコインとは

ビットコインとは

ビットコインの購入方法を理解する前に、まずは「ビットコインとは何か」という基本的な部分を把握しておくことが重要です。ビットコインの正体とその仕組みを知ることで、なぜ価値が生まれ、多くの人々を惹きつけているのかが見えてきます。

ビットコインの基本的な仕組み

ビットコインとは、2009年に「サトシ・ナカモト」と名乗る謎の人物またはグループによって考案された、世界初のデジタル通貨(暗号資産)です。円やドルのような法定通貨とは異なり、紙幣や硬貨といった物理的な形を持たず、インターネット上でデータとして存在します。

ビットコインの最大の特徴は、特定の国や中央銀行のような中央管理者が存在しない「非中央集権型」の通貨である点です。では、誰がこの通貨システムを管理・運営しているのでしょうか。その答えが、ビットコインの中核をなす「ブロックチェーン」という技術です。

ブロックチェーン技術:信頼を支える分散型台帳

ブロックチェーンは、直訳すると「ブロックの鎖」です。ビットコインの全ての取引記録(トランザクション)は、一定時間ごとに「ブロック」と呼ばれるデータの塊にまとめられます。そして、新しく生成されたブロックが、時系列に沿って過去のブロックに鎖(チェーン)のようにつながっていくことで、一本の連続した取引台帳が形成されます。

この台帳は、世界中のネットワーク参加者(ノード)のコンピュータに分散して共有・管理されています。これを「分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology, DLT)」と呼びます。

この仕組みには、以下のような大きなメリットがあります。

  1. 改ざんが極めて困難:あるブロックのデータを改ざんしようとすると、そのブロックに記録されているハッシュ値(データを要約した固有の値)が変化します。すると、後続の全てのブロックのハッシュ値も整合性が取れなくなるため、それら全てを同時に書き換える必要があります。さらに、ネットワーク上の多数のコンピュータの台帳を同時に改ざんする必要があり、これは事実上不可能です。この高い耐改ざん性が、ビットコインの信頼性の根幹を支えています。
  2. システムダウンが起こりにくい:中央集権型のシステムでは、メインサーバーがダウンするとシステム全体が停止してしまいます。しかし、ビットコインのネットワークは世界中のコンピュータに分散しているため、一部のコンピュータが停止してもシステム全体が止まることはありません。この高い可用性も大きな特徴です。
  3. 透明性の確保:取引記録は暗号化されていますが、誰でもネットワーク上の取引履歴を閲覧できます(ただし、個人情報とは直接結びつきません)。これにより、不正な取引が行われていないかを誰でも検証でき、システムの透明性が保たれています。

マイニング:取引の承認と新規発行のプロセス

中央管理者がいないビットコインのネットワークで、誰が取引の正当性を検証し、新しいブロックを生成しているのでしょうか。その役割を担っているのが「マイナー(採掘者)」と呼ばれる人々です。

マイナーは、高性能なコンピュータを使って膨大な計算作業を行います。この計算とは、新しいブロックを生成するための特定の条件を満たす値(ナンス)を見つけ出す作業です。最も早くこの計算を解いたマイナーが、新しいブロックをブロックチェーンにつなぐ権利を得て、その報酬として新規発行されたビットコインと、そのブロックに含まれる取引の利用者が支払った手数料を受け取ります。この一連の作業が、金(ゴールド)を採掘する行為になぞらえて「マイニング(採掘)」と呼ばれています。

このマイニングという仕組みによって、以下の2つの重要な機能が実現されています。

  • 取引の承認・確定:マイナーが計算問題を解くことで、ブロック内の取引が正当なものであることが承認され、ブロックチェーンに記録されます。
  • 新規ビットコインの発行:マイニングの成功報酬として、新しいビットコインが市場に供給されます。

法定通貨との違いとビットコインの価値の源泉

円やドルなどの法定通貨は、国や中央銀行が発行と管理を行い、その価値を保証しています。一方で、ビットコインにはそのような中央機関が存在しません。では、なぜビットコインに価値が生まれるのでしょうか。その理由は主に以下の3つに集約されます。

  1. 希少性(発行上限):ビットコインのプログラムには、総発行量が約2,100万枚と上限が定められています。法定通貨のように、政府の判断で無限に発行されることがないため、金(ゴールド)のように希少性が生まれ、インフレに対する価値の保存手段として期待されています。
  2. 実用性(送金・決済):ビットコインは、インターネット環境さえあれば、世界中のどこへでも、銀行などの中継機関を介さずに比較的安価な手数料で迅速に送金できます。この国際送金の利便性や、一部の店舗やオンラインサービスでの決済手段としての利用が、実用的な価値を生み出しています。
  3. 需要と供給のバランス:最終的に、ビットコインの価格は、株式や為替と同じように「買いたい人(需要)」と「売りたい人(供給)」のバランスによって決まります。将来的な価値の上昇を期待して購入する人が増えれば価格は上がり、逆に売る人が増えれば価格は下がります。

このように、ビットコインはブロックチェーンという革新的な技術を基盤とし、中央管理者の不在、発行上限による希少性、そしてグローバルな送金・決済手段としての実用性によって、その価値を確立しているのです。この基本的な仕組みを理解することが、ビットコイン取引を始める上での第一歩となります。

ビットコインの買い方 簡単3ステップ

暗号資産取引所で口座を開設する、開設した口座に日本円を入金する、ビットコインを購入する

ビットコインの仕組みを理解したところで、いよいよ具体的な購入方法を見ていきましょう。難しく感じるかもしれませんが、実際にはオンラインで銀行口座を開設するのと同様の手順で、誰でも簡単に始めることができます。ここでは、最も一般的で初心者にも安心な「暗号資産取引所」を利用する方法を、3つのステップに分けて解説します。

① 暗号資産取引所で口座を開設する

ビットコインを購入するためには、まず「暗号資産取引所」と呼ばれるサービスに登録し、自分専用の口座を開設する必要があります。暗号資産取引所とは、円やドルなどの法定通貨と、ビットコインなどの暗号資産を交換してくれるプラットフォームのことです。

日本国内で安心して利用するためには、金融庁・財務局に登録されている「暗号資産交換業者」を選ぶことが絶対条件です。登録業者は、利用者保護やセキュリティに関する厳しい基準をクリアしているため、無登録の海外業者などを利用するのに比べて格段に安全です。

口座開設は、ほとんどの取引所でスマートフォンやパソコンからオンラインで完結し、手数料も無料です。

本人確認に必要な書類を準備する

口座開設手続きには、法律(犯罪収益移転防止法)に基づき、本人確認が義務付けられています。スムーズに手続きを進めるために、あらかじめ以下のいずれかの本人確認書類を準備しておきましょう。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード(個人番号カード)
  • パスポート(2020年2月3日以前に申請されたもの)
  • 在留カード(外国籍の方)
  • 運転経歴証明書

これらの書類をスマートフォンのカメラで撮影して提出することが多いため、氏名、住所、生年月日、顔写真が鮮明に写るように準備してください。書類の有効期限が切れていないかも事前に確認しておきましょう。

個人情報を入力し本人確認を申請する

書類の準備ができたら、選んだ暗号資産取引所の公式サイトまたは公式アプリから口座開設を申し込みます。基本的な流れは以下の通りです。

  1. メールアドレスとパスワードの登録:まず、連絡用のメールアドレスを登録します。登録したアドレスに届く認証メールのリンクをクリックし、ログイン用のパスワードを設定します。
  2. 個人情報の入力:次に、氏名、住所、生年月日、電話番号、職業、年収、投資経験などの基本情報を画面の指示に従って入力します。これらの情報は、本人確認や取引のリスク許容度を判断するために必要となります。入力内容が本人確認書類と一致しているか、間違いがないか慎重に確認しましょう。
  3. 本人確認の申請:個人情報の入力後、本人確認手続きに進みます。多くの取引所では、利便性の高い「スマホでかんたん本人確認」(e-KYC)という方法が採用されています。これは、スマートフォンのカメラで、先ほど準備した本人確認書類と自分の顔を撮影してアップロードするだけで完結する方法です。この方法を利用すれば、最短で即日〜翌営業日には審査が完了し、取引を開始できます。

「スマホでかんたん本人確認」が利用できない場合や、対応していない取引所の場合は、「ハガキによる本人確認」となります。この場合、取引所から審査完了後に本人確認用のコードが記載されたハガキが転送不要郵便で送られてきます。そのハガキを受け取り、記載されたコードを入力することで本人確認が完了します。この方法は、手元にハガキが届くまで数日〜1週間程度かかる場合があります。

② 開設した口座に日本円を入金する

無事に口座開設の審査が完了したら、次はビットコインを購入するための資金(日本円)を、開設した取引所の口座に入金します。主な入金方法は以下の3つです。

入金方法 メリット デメリット
銀行振込 ほとんどの金融機関から振込可能 振込手数料が自己負担、金融機関の営業時間外は翌営業日の反映になる場合がある
クイック入金 24時間365日ほぼリアルタイムで反映、振込手数料が無料の場合が多い 対応している金融機関が限られる、入金した資金の移動に一定期間制限がかかる場合がある
コンビニ入金 近くのコンビニから24時間入金可能 1回あたりの入金額に上限がある、所定の手数料がかかる

初心者の場合は、手数料が無料で即時反映される「クイック入金」が最もおすすめです。利用する取引所が提携しているインターネットバンキングの口座を持っている場合は、ぜひ活用しましょう。

入金手続きは、取引所のアプリやサイトにログインし、「入金」や「日本円入金」といったメニューから行います。銀行振込の場合は、表示される取引所指定の振込先口座(各ユーザー専用の口座が割り当てられます)に、自分の銀行口座から振り込みます。この際、振込名義人が必ず取引所の登録名義と一致している必要があるので注意してください。

入金が完了すると、取引所の口座残高に金額が反映されます。これで、いつでもビットコインを購入できる状態になりました。

③ ビットコインを購入する

日本円の入金が完了したら、いよいよ最終ステップ、ビットコインの購入です。取引所のアプリやサイトには、ビットコインをはじめとする様々な暗号資産の価格がリアルタイムで表示されています。

購入手続きは非常にシンプルです。

  1. 購入したい暗号資産を選択:取引所の通貨一覧から「ビットコイン(BTC)」を選択します。
  2. 購入金額または数量を指定:「日本円でいくら分購入するか」または「何BTC購入するか」を入力します。多くの取引所では、「500円」や「1,000円」といった少額から購入が可能です。初心者のうちは、まず無理のない少額で試してみることをお勧めします。
  3. 注文を確定:入力内容を確認し、「購入」や「注文」といったボタンをタップ(クリック)すれば、購入手続きは完了です。

購入が成立すると、即座に自分の口座にビットコインが反映されます。取引履歴や保有資産のページで、購入したビットコインの数量と現在の評価額を確認できます。

以上が、暗号資産取引所でビットコインを購入するための3つのステップです。口座開設から購入まで、早ければその日のうちに完了することも可能です。この手軽さが、ビットコイン取引が広く普及している理由の一つと言えるでしょう。

ビットコインの購入方法

ビットコインを入手する方法は、前述した「暗号資産取引所」を利用するのが最も一般的ですが、実はそれ以外にもいくつかの方法が存在します。ここでは、代表的な購入方法である「暗号資産取引所」と「P2P(個人間取引)」について、それぞれの特徴を解説します。

暗号資産取引所(販売所・取引所)

暗号資産取引所は、ビットコインをはじめとする暗号資産を売買したい人々が集まるプラットフォームです。日本国内においては、金融庁に登録された暗号資産交換業者が運営しており、初心者にとって最も安全で信頼性の高い購入方法と言えます。

暗号資産取引所を利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 信頼性と安全性:金融庁の監督下にあるため、顧客資産の分別管理や厳格なセキュリティ対策が義務付けられています。これにより、ハッキングや事業者の破綻といったリスクに対して一定の保護がなされています。
  • 利便性の高さ:口座開設から入金、売買まで、ほとんどのプロセスがオンラインで完結します。スマートフォンアプリを提供している取引所も多く、場所や時間を選ばずに手軽に取引が可能です。
  • 流動性の高さ:多くのユーザーが参加しているため、「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」可能性が高いです。特にビットコインのような主要な通貨では、常に十分な取引量があり、スムーズな売買ができます。
  • 日本語サポート:国内の取引所であれば、ウェブサイトやサポートデスクが日本語に完全対応しているため、トラブルが発生した際にも安心して問い合わせができます。

暗号資産取引所の中には、さらに「販売所」と「取引所」という2つの異なる売買形式が存在します。この2つの違いは、取引のコストや操作性に大きく影響するため、非常に重要です。詳細については、次の章「『販売所』と『取引所』の違い」で詳しく解説します。

初心者がビットコインを始めるにあたっては、まずこの暗号資産取引所を利用する方法を第一に検討するのが賢明です。

P2P(個人間取引)

P2P(Peer-to-Peer)取引とは、暗号資産取引所のような仲介業者を介さず、個人と個人の間で直接ビットコインを売買する方法です。この取引を仲介する専用のプラットフォームや、SNS、掲示板などを通じて行われます。

P2P取引の主なメリットは以下の通りです。

  • 取引の自由度が高い:売買価格や決済方法(銀行振込、現金手渡し、電子マネーなど)を当事者間で自由に決められます。取引所が提示する価格ではなく、交渉次第で有利なレートで取引できる可能性があります。
  • 手数料が比較的安い場合がある:取引所のようにスプレッド(売買価格の差)や取引手数料が発生せず、プラットフォームの利用料のみで済む場合があるため、コストを抑えられる可能性があります。

一方で、P2P取引には初心者にとって見過ごせない大きなデメリットとリスクが存在します。

  • 詐欺のリスク(カウンターパーティリスク):P2P取引における最大のリスクは、取引相手が信頼できるかどうか分からない点です。「お金を振り込んだのにビットコインが送られてこない」「ビットコインを送ったのにお金が振り込まれない」といった詐欺に遭う危険性が常に伴います。エスクローサービス(プラットフォームが一時的に資産を預かり、取引の安全性を担保する仕組み)を提供するプラットフォームもありますが、それでもリスクがゼロになるわけではありません。
  • 流動性の低さ:希望する価格や数量で売買したい相手がすぐに見つかるとは限りません。特に大きな金額の取引を行いたい場合、適切な取引相手を探すのに時間がかかることがあります。
  • 価格交渉の手間:取引所のように決まった価格で即座に売買できるわけではなく、相手との価格交渉が必要です。市場価格に関する十分な知識がないと、不利な条件で取引してしまう可能性があります。
  • プライバシーとセキュリティの問題:取引相手と直接連絡を取り合う必要があるため、個人情報が漏洩するリスクがあります。

結論として、P2P取引は暗号資産の仕組みやリスクを熟知した上級者向けの取引方法です。特にビットコイン取引が初めての方は、セキュリティと利便性が確保された国内の暗号資産取引所を利用することをお勧めします。安全な環境で取引に慣れることが、長く資産運用を続けるための鍵となります。

「販売所」と「取引所」の違い

暗号資産取引所でビットコインを購入する方法には、「販売所」と「取引所」という2つの形式があることを前述しました。この2つは名前が似ているため混同しがちですが、取引の相手や価格の決まり方、手数料の仕組みが全く異なります。どちらを選ぶかによって取引コストに大きな差が出るため、それぞれの違いを正確に理解しておくことが非常に重要です。

項目 販売所 取引所
取引相手 暗号資産取引所(運営会社) 他のユーザー
価格決定 取引所が提示する価格 ユーザー間の需要と供給(板取引)
価格の特徴 買値と売値にスプレッドがある(割高) スプレッドが非常に狭い(市場価格に近い)
手数料 取引手数料は無料が多い(スプレッドが実質的なコスト) 取引手数料がかかる場合がある
操作性 シンプルで簡単(初心者向け) やや複雑(中・上級者向け)
メリット 確実に、すぐに、簡単に売買できる コストを抑えて取引できる
デメリット 取引コストが割高になる 希望価格で約定しないことがある

取引相手の違い

まず最も根本的な違いは、誰と取引をするかという点です。

  • 販売所:ユーザーは、暗号資産取引所の運営会社を相手にビットコインを売買します。イメージとしては、外貨両替ショップで円とドルを交換するのに似ています。私たちがショップ(取引所運営会社)からビットコインを買い、ショップにビットコインを売るという形です。
  • 取引所:ユーザーは、そのプラットフォームを利用している他のユーザーを相手にビットコインを売買します。取引所の運営会社は、あくまで買い手と売り手をつなぐ「市場(マーケットプレイス)」を提供しているだけで、取引そのものには関与しません。株式市場で、投資家同士が株を売買するのと同じ仕組みです。

この取引相手の違いが、次に説明する価格や手数料の違いを生み出しています。

価格の違い

取引相手が異なるため、価格の決まり方も大きく異なります。

  • 販売所:販売所では、運営会社が独自に設定した購入価格(Ask)と売却価格(Bid)が提示されます。ユーザーは、その提示された価格で売買を行うことになります。重要なのは、この購入価格と売却価格には「スプレッド」と呼ばれる価格差が設けられている点です。例えば、ある時点で購入価格が「705万円」、売却価格が「695万円」と提示されていた場合、この10万円の差がスプレッドです。このスプレッドが、実質的に運営会社の利益(手数料)となります。
  • 取引所:取引所では、買いたい人(投資家)と売りたい人(投資家)の需要と供給によって価格がリアルタイムに変動します。これは「板(いた)」と呼ばれる注文一覧表で確認できます。「いくらで、どれくらいの量を、買いたいか(売りたいか)」という注文が並んでおり、買い注文と売り注文の価格が一致したときに取引が成立(約定)します。そのため、販売所のようにあらかじめ固定されたスプレッドは存在せず、市場の実勢価格に近い価格で取引が可能です。

スプレッドは実質的な手数料であり、この幅が広ければ広いほど、ユーザーにとっては不利な取引となります。一般的に、販売所のスプレッドは取引所形式に比べてかなり広く設定されているため、同じタイミングでビットコインを売買しても、販売所を利用する方がコストは高くなります。

手数料の違い

手数料の体系にも違いがあります。

  • 販売所:多くの販売所では、「取引手数料無料」をうたっています。しかし、これは名目上の話であり、前述した「スプレッド」が実質的な手数料として機能しています。スプレッドが3%に設定されている場合、購入した瞬間に資産価値が3%目減りすることと同じ意味になります。見かけの手数料が無料だからといって、コストがかからないわけではない点に注意が必要です。
  • 取引所:取引所では、売買が成立した際に「取引手数料」が発生する場合があります。この手数料は、取引金額に対して「0.01%〜0.2%」程度の料率で設定されていることが一般的です。また、注文方法によって手数料が異なる「Maker-Takerモデル」を採用している取引所も多くあります。
    • Maker(メイカー):板にない新しい価格で注文を出し、新たな流動性を作るユーザー。手数料が安くなる、あるいはマイナス(手数料がもらえる)になる場合があります。
    • Taker(テイカー):板にすでにある注文で取引を成立させ、流動性を取るユーザー。Makerよりも手数料がやや高く設定されることが一般的です。

一見すると手数料がかかる取引所の方が損に思えるかもしれませんが、取引手数料を考慮しても、販売所の広いスプレッドに比べれば、トータルの取引コストは取引所の方が圧倒的に安く済むケースがほとんどです。

初心者はどちらを選ぶべき?

では、ビットコイン取引を始めたばかりの初心者は、販売所と取引所のどちらを利用すべきなのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを踏まえると、以下のような使い分けが推奨されます。

販売所が向いているケース

  • とにかく操作の簡単さを優先したい
  • 難しいことは考えず、今すぐ確実にビットコインが欲しい
  • ごく少額(数千円程度)からお試しで始めてみたい

販売所の最大のメリットは、その圧倒的な操作のシンプルさです。購入画面には金額を入力する欄があるだけで、難しい注文方法や板情報を理解する必要はありません。提示された価格で即座に、かつ確実に売買が成立するため、初心者でも迷うことなく取引を完了できます。

取引所が向いているケース

  • 少しでも有利な価格で、コストを抑えて取引したい
  • ある程度まとまった金額で取引をしたい
  • 指値注文など、より戦略的な取引をしたい

取引所の最大のメリットは、コストの低さです。スプレッドが非常に狭いため、販売所に比べて有利な価格でビットコインを売買できます。取引回数が多くなったり、取引金額が大きくなったりするほど、このコストの差は無視できないものになります。

結論として、初心者の方には以下のステップをおすすめします。

  1. まずは「販売所」で少額のビットコインを購入してみる。 これにより、口座への入金から購入までの一連の流れを、簡単な操作で体験できます。
  2. 取引に慣れてきたら、コストの安い「取引所」での売買に挑戦する。 板取引の画面や注文方法に少しずつ慣れていき、より効率的な資産運用を目指しましょう。

多くの暗号資産取引所は、一つのアカウントで「販売所」と「取引所」の両方の機能を提供しています。まずは臆することなく、両方の画面を覗いてみて、その違いを実際に体感してみるのが上達への近道です。

初心者におすすめの暗号資産取引所3選

日本国内には数多くの暗号資産取引所が存在しますが、それぞれに手数料、取扱通貨、アプリの使いやすさなどの特徴が異なります。ここでは、特に初心者がビットコイン取引を始めるにあたって、人気と実績があり、安心して利用できる代表的な取引所を3つ厳選して紹介します。

(※本記事で紹介する各取引所の情報は、2024年5月時点のものです。手数料やサービス内容は変更される可能性があるため、口座開設の際は必ず各取引所の公式サイトで最新の情報をご確認ください。)

① Coincheck(コインチェック)

Coincheckは、アプリのダウンロード数が国内No.1(※)であり、その圧倒的な使いやすさから、多くの初心者に選ばれている取引所です。とにかくシンプルで直感的に操作できるスマートフォンアプリが最大の魅力で、「暗号資産取引は難しそう」というイメージを払拭してくれます。
(※)参照:Coincheck公式サイト

主な特徴 詳細
アプリの使いやすさ チャート画面が見やすく、売買操作も数タップで完了。初心者でも迷わない洗練されたUI/UX。
取扱通貨の豊富さ ビットコインはもちろん、イーサリアムやリップルなど、国内最大級の29種類以上の暗号資産を取扱っている。(2024年5月時点)
500円から購入可能 少額からビットコイン投資を始められるため、お試しで始めたい初心者に最適。
各種サービスの充実 NFTマーケットプレイスや、暗号資産の積立サービス、貸暗号資産サービスなども提供。
セキュリティ 大手金融グループであるマネックスグループ傘下で、信頼性の高いセキュリティ体制を構築。

手数料について

  • 入金手数料:銀行振込は無料(振込手数料は自己負担)。クイック入金・コンビニ入金は所定の手数料がかかります。
  • 販売所手数料:無料(ただし、スプレッドあり)
  • 取引所手数料(BTC):Taker手数料が0.005%、Maker手数料は無料です。(2024年5月時点)

こんな人におすすめ

  • とにかく簡単で分かりやすいアプリで取引を始めたい方
  • ビットコイン以外の様々なアルトコインにも興味がある方
  • まずは500円程度の少額から試してみたい方

Coincheckは、まさに「初心者のための一つ目の口座」として最適な選択肢の一つです。分かりやすいインターフェースで取引の基本を学びながら、将来的に多様な暗号資産への投資を検討したい方にとって、非常にバランスの取れた取引所と言えるでしょう。

参照:Coincheck公式サイト

② DMM Bitcoin

DMM Bitcoinは、DMM.comグループが運営する暗号資産取引所です。最大の特徴は、レバレッジ取引に対応している銘柄が国内最多クラスであることと、各種手数料の安さにあります。現物取引はもちろん、より積極的な取引を目指したいユーザーにも支持されています。

主な特徴 詳細
各種手数料が無料 日本円のクイック入金・出金手数料、暗号資産の送付手数料が無料。コストを抑えて取引可能。
レバレッジ取引に強い 国内最多クラスの34種類の暗号資産でレバレッジ取引が可能。(2024年5月時点)
独自の注文方法「BitMatch」 DMM Bitcoinが提示するミッド(仲値)価格で取引が成立する注文方法。スプレッドを気にせず、コストを抑えた取引が期待できる。
充実したサポート体制 24時間365日、LINEやフォームでの問い合わせに対応。初心者でも安心して利用できる。
高いセキュリティ DMMグループで培われたノウハウを活かした堅牢なセキュリティシステム。

手数料について

  • 入金手数料:クイック入金は無料。銀行振込は自己負担。
  • 出金手数料:無料
  • 取引手数料(現物):販売所形式のみのため無料(スプレッドあり)。BitMatch注文利用時は別途手数料が発生。

注意点
DMM Bitcoinの現物取引は「販売所」形式のみです。ユーザー同士が売買する「取引所」形式はありません。ただし、独自の「BitMatch注文」を利用することで、販売所のスプレッドよりも有利なコストで取引できる可能性があります。

こんな人におすすめ

  • 入出金などの手数料を極力抑えたい方
  • 将来的にレバレッジ取引にも挑戦してみたい方
  • 24時間体制のサポートを重視する方

徹底したコスト削減と、将来的なステップアップ(レバレッジ取引)を見据えるなら、DMM Bitcoinは有力な候補となります。特に、頻繁に入出金を行う可能性がある方にとっては、手数料無料のメリットは大きいでしょう。

参照:DMM Bitcoin公式サイト

③ bitFlyer(ビットフライヤー)

bitFlyerは、国内最大級のビットコイン取引量を誇る(※)、2014年設立の老舗の暗号資産取引所です。長年の運営実績と、業界最高水準とも言われる強固なセキュリティ体制で、多くのユーザーから高い信頼を得ています。
(※)参照:bitFlyer公式サイト

主な特徴 詳細
業界最長のハッキング被害ゼロ 創業以来、一度もハッキングによる不正流出がないという実績は、大きな安心材料。(2024年5月時点)
1円から始められる ビットコインを1円単位で購入できるため、誰でも気軽に始めることができる。
流動性の高さ ビットコインの取引量が多いため、「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」安定した取引環境。
高機能な取引ツール「bitFlyer Lightning」 スピードを重視するトレーダーや上級者向けに、高機能な取引ツールを提供。
独自のサービス Tポイントをビットコインに交換できるサービスや、クレジットカード利用でビットコインが貯まるサービスなど、ユニークな取り組みも多い。

手数料について

  • 入金手数料:銀行振込は自己負担。クイック入金は無料(住信SBIネット銀行)または330円。
  • 販売所手数料:無料(ただし、スプレッドあり)
  • 取引所手数料(BTC):直近30日の取引量に応じて約定数量の0.01%〜0.15%。

こんな人におすすめ

  • セキュリティの高さを最優先に考えたい方
  • まずは1円などの超少額から試してみたい方
  • 安定した取引環境で、将来的に本格的なトレードも視野に入れている方

セキュリティと実績を何よりも重視するならば、bitFlyerは最も信頼できる選択肢の一つです。1円から始められる手軽さも兼ね備えており、初心者から上級者まで幅広い層のニーズに応えることができる、オールラウンダーな取引所と言えます。

参照:bitFlyer公式サイト

暗号資産取引所の選び方 5つのポイント

手数料の安さ、取扱っている暗号資産の種類、アプリや取引ツールの使いやすさ、セキュリティ対策の信頼性、最低取引金額

前章では具体的な取引所を3つ紹介しましたが、「自分にはどの取引所が合っているのか、もっと詳しく知りたい」と感じた方もいるでしょう。ここでは、数ある取引所の中から自分に最適な一社を見つけるための、5つの重要なチェックポイントを解説します。

① 手数料の安さ

暗号資産取引で発生するコストは、利益に直結する重要な要素です。チェックすべき手数料は主に以下の4種類です。

  1. 入出金手数料:日本円を取引所に入金したり、自分の銀行口座に出金したりする際に発生する手数料です。頻繁に入出金を行う予定がある方は、この手数料が無料の取引所を選ぶとコストを節約できます。「クイック入金」が無料でも、通常の銀行振込や出金には手数料がかかる場合があるので、よく確認しましょう。
  2. 取引手数料:「取引所」形式で売買する際に発生する手数料です。取引金額の〇%という形で徴収されます。料率は取引所によって異なり、0%(無料)から0.2%程度まで幅があります。
  3. スプレッド:「販売所」形式で売買する際に発生する、購入価格と売却価格の差額です。これが実質的な手数料となり、取引コストに最も大きな影響を与えます。同じタイミングでも取引所によってスプレッドの広さは異なるため、複数の取引所のアプリなどで比較してみるのがおすすめです。
  4. 送金手数料:取引所で購入したビットコインを、他の取引所や自身のウォレットに送金する際に発生する手数料です。将来的にビットコインを安全に保管するために外部ウォレットへの移動を考えている方は、この手数料も確認しておくと良いでしょう。

これらの手数料を総合的に見て、自分の取引スタイルに合った最もコストの低い取引所を選ぶことが重要です。例えば、短期売買を繰り返すなら取引手数料やスプレッドが狭いところ、長期保有が目的なら入出金手数料が安いところが有利になるでしょう。

② 取扱っている暗号資産の種類

最初はビットコインだけが目的でも、取引に慣れてくるとイーサリアム(ETH)やリップル(XRP)といった他の暗号資産(アルトコイン)にも興味が湧いてくるかもしれません。

将来的に様々な通貨に分散投資をしたいと考えているのであれば、あらかじめ取扱通貨の種類が豊富な取引所を選んでおくと、後から別の取引所で口座を開設する手間が省けます。

ただし、単に種類が多ければ良いというわけではありません。取引量が極端に少ない「草コイン」と呼ばれるような銘柄は、価格変動が非常に激しく、流動性も低いため、初心者にはリスクが高い場合があります。まずは、ビットコインやイーサリアムなど、時価総額が大きく、多くの取引所で扱われている主要な通貨に絞って検討するのが安全です。自分が投資してみたい通貨を扱っているかどうか、という視点で選ぶのが良いでしょう。

③ アプリや取引ツールの使いやすさ

特に初心者にとって、スマートフォンアプリや取引ツールの操作性は、取引のしやすさや継続のモチベーションに直結します。多くの取引所が無料のスマホアプリを提供していますが、そのデザインや機能性は様々です。

  • 初心者向けのアプリ:チャートが見やすく、売買ボタンが分かりやすいなど、直感的な操作性を重視したシンプルな設計になっています。Coincheckのアプリなどはこの代表例です。
  • 上級者向けの取引ツール:PCでの利用を想定し、複数のテクニカル指標を同時に表示できたり、注文方法が豊富だったりと、より高度な分析やスピーディーな取引が可能な設計になっています。bitFlyerの「bitFlyer Lightning」などがこれにあたります。

自分が主にスマートフォンで取引するのか、PCで本格的に分析しながら取引するのかを考え、それに合ったツールを提供している取引所を選びましょう。口座開設前に、公式サイトのデモ画面や、アプリストアのレビューなどを参考にするのも有効です。実際に使ってみて「自分にとって分かりやすい、使いやすい」と感じるかどうかが最も重要です。

④ セキュリティ対策の信頼性

暗号資産はデジタルデータであるため、常にハッキングのリスクに晒されています。大切な資産を守るためには、取引所のセキュリティ対策が万全であることが絶対条件です。

以下のポイントを必ず確認しましょう。

  • 金融庁への登録:これは大前提です。日本国内で事業を行う暗号資産交換業者は、金融庁への登録が法律で義務付けられています。必ず登録済みの業者を選んでください。
  • 顧客資産の分別管理:取引所が預かっている顧客の資産と、会社の自己資産が明確に分けて管理されているか。万が一取引所が破綻した場合でも、顧客の資産が守られるための重要な仕組みです。
  • コールドウォレットでの保管:顧客から預かった暗号資産の大部分を、インターネットから完全に切り離された「コールドウォレット」で保管しているか。オンライン上にある「ホットウォレット」に比べて、ハッキングのリスクを大幅に低減できます。
  • 二段階認証の提供:ログイン時や送金時に、ID・パスワードに加えて、スマートフォンアプリなどで生成される一時的な確認コードの入力を求めるセキュリティ機能です。不正ログインを防ぐために、ユーザー自身が必ず設定すべき必須の機能です。
  • マルチシグ:暗号資産の送金の際に、複数の秘密鍵を必要とする仕組みです。これにより、単独の人物による不正な送金を防ぐことができます。

過去の運営実績や、セキュリティに関する情報開示の透明性なども、信頼性を判断する上で重要な指標となります。

⑤ 最低取引金額

「いきなり大きな金額を投資するのは怖い」と感じる初心者がほとんどでしょう。そのため、どれくらいの少額からビットコインを購入できるかという「最低取引金額」も、取引所を選ぶ上で重要なポイントになります。

多くの取引所では「500円」や「1,000円」から購入できるようになっていますが、中にはbitFlyerのように「1円」から取引できるところもあります。

まずは失っても生活に影響のない範囲の少額で始めて、実際の値動きや取引の感覚を掴むことが大切です。自分の「お試し予算」に合わせて、無理なく始められる取引所を選びましょう。

これらの5つのポイントを総合的に比較検討し、自分の投資スタイルや知識レベルに最も合った暗号資産取引所を見つけることが、成功への第一歩となります。

ビットコインを購入する前の注意点

価格が大きく変動するリスクがある、必ず余剰資金で投資する、まずは少額から始めてみる、ハッキングや詐欺のリスクを理解する、レバレッジ取引は慎重に検討する

ビットコインは夢のある投資対象ですが、同時に様々なリスクも伴います。購入ボタンを押す前に、以下の注意点を必ず理解し、健全な心構えで臨むことが、長期的に資産を築く上で不可欠です。

価格が大きく変動するリスクがある

ビットコインを含む暗号資産の最大の特徴であり、同時に最大のリスクが「価格変動(ボラティリティ)の大きさ」です。株式や為替など、他の金融商品と比較しても、その価格の変動幅は非常に大きい傾向にあります。

例えば、1日で価格が10%以上変動することも珍しくありません。これは、短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方で、購入した時よりも価格が大幅に下落し、大きな損失を被るリスクがあることを意味します。良いニュースが出れば急騰し、悪いニュースや規制の話題が出れば急落するなど、価格は様々な要因で目まぐるしく動きます。

この価格変動リスクを常に念頭に置き、「投資した資金が半分以下になる可能性もある」ということを理解した上で取引に臨む必要があります。

必ず余剰資金で投資する

価格変動リスクと密接に関連するのが、投資に回す資金は必ず「余剰資金」で行うという鉄則です。

余剰資金とは、当面の生活費や、近い将来(数年以内)に使う予定のあるお金(教育費、住宅購入資金など)を除いた、万が一失っても生活に支障が出ないお金のことです。

生活費や必要資金を投じてしまうと、価格が下落した際に冷静な判断ができなくなります。「早く損失を取り戻さなければ」と焦ってしまい、さらにリスクの高い取引に手を出して傷口を広げてしまう(狼狽売りや無謀なナンピン買い)といった、典型的な失敗パターンに陥りがちです。

精神的な余裕を持って、長期的な視点で投資を続けるためにも、余剰資金の範囲内で楽しむというルールを徹底しましょう。

まずは少額から始めてみる

前述の通り、多くの取引所では数百円からビットコインを購入できます。理論や知識を学ぶことも重要ですが、実際に自分のお金で取引を経験してみることでしか得られない感覚があります。

  • 価格が1%動くと、自分の資産がいくら増減するのか。
  • 購入や売却の注文は、どのような手順で行うのか。
  • 自分の資産状況は、アプリのどこで確認するのか。

まずはコーヒー1杯分、ランチ1回分程度の金額から始めてみましょう。この少額での実践を通じて、取引の一連の流れや、値動きに対する自分自身の心理的な反応を体験することができます。たとえその少額投資で損失が出たとしても、それは授業料と割り切ることができます。この小さな成功体験と失敗体験の積み重ねが、将来より大きな金額で取引する際の貴重な経験となります。

ハッキングや詐欺のリスクを理解する

ビットコインを取り巻くリスクは、価格変動だけではありません。デジタル資産であるがゆえの、技術的なリスクにも注意が必要です。

  • 取引所のハッキング:過去には国内外の取引所がハッキングされ、顧客の暗号資産が流出する事件が何度も発生しています。信頼できるセキュリティ対策を講じている取引所を選ぶことが第一ですが、100%安全とは言い切れません。対策として、資産を一つの取引所に集中させず、複数に分散させる、長期保有分は後述するウォレットで自己管理するなどの方法が考えられます。
  • フィッシング詐Git欺:取引所やウォレットサービスを装った偽のメールやSMSを送りつけ、偽サイトに誘導してIDやパスワード、秘密鍵などを盗み取ろうとする詐欺です。公式サイトのURLをブックマークしておく、安易にメールのリンクをクリックしないなどの基本的な対策が重要です。
  • SNSなどでの詐欺:「必ず儲かる」「元本保証」といった甘い言葉で投資を勧誘し、資金を送金させたり、怪しいプロジェクトへの投資を促したりする詐欺も横行しています。投資の世界に「絶対」はありません。うますぎる話はまず詐欺を疑い、安易に乗らない姿勢が大切です。

これらのリスクから資産を守るためには、二段階認証を必ず設定する、パスワードを使い回さない、不審な連絡には応じないといった自己防衛の意識が不可欠です。

レバレッジ取引は慎重に検討する

一部の取引所では、「レバレッジ取引」というサービスが提供されています。これは、証拠金として預けた資金を担保に、その何倍もの金額の取引ができる仕組みです。例えば、10万円の証拠金で2倍のレバレッジをかければ、20万円分の取引が可能になります。

少ない資金で大きな利益を狙える可能性がある一方で、予想と反対に価格が動いた場合には、損失も同様に倍増します。損失が膨らみ、預けた証拠金が一定の水準を下回ると、「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金の入金を求められたり、「ロスカット」によって強制的にポジションが決済され、大きな損失が確定したりするリスクがあります。

レバレッジ取引は非常にハイリスク・ハイリターンな取引手法であり、相場の知識と経験、そして徹底した資金管理が求められます。暗号資産取引の初心者は、まずレバレッジをかけない「現物取引」から始め、市場の感覚を十分に養うことを強く推奨します。

ビットコイン購入後の管理について

ビットコインを無事に購入できた後、次に考えなければならないのが、その資産を「どのように安全に保管するか」そして「利益が出た場合にどうなるか」という2つの重要なテーマです。これらを正しく理解しておくことで、長期的に安心して資産を保有し続けることができます。

ビットコインの保管方法(ウォレット)

ビットコインの保管場所のことを「ウォレット」と呼びます。これは、ビットコインのアドレス(銀行の口座番号のようなもの)と、そのアドレスのビットコインを動かすための「秘密鍵(暗証番号のようなもの)」を管理するツールの総称です。ウォレットには様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

① 取引所のウォレット(ホットウォレット)
口座を開設した暗号資産取引所が提供しているウォレットです。購入したビットコインは、まずこのウォレットに保管されます。

  • メリット:自分で管理する手間がなく、すぐに売買できるため利便性が高い。
  • デメリット:秘密鍵を取引所が管理しているため、取引所がハッキングされた場合に資産を失うリスクがある。オンラインに接続されているため「ホットウォレット」と呼ばれ、セキュリティリスクは相対的に高い。

少額の取引や短期売買を目的とする場合は便利ですが、多額の資産を長期間預けっぱなしにすることは推奨されません。

② ソフトウェアウォレット(デスクトップ・モバイル)
自分のPCやスマートフォンにインストールして使用するウォレットアプリです。

  • メリット:秘密鍵を自分で管理できるため、取引所に預けるより安全性が高い。手軽に送金や残高確認ができる。
  • デメリット:PCやスマホがウイルスに感染したり、故障・紛失したりすると、資産を失うリスクがある。バックアップ(リカバリーフレーズの保管)が非常に重要。

③ ハードウェアウォレット
USBメモリのような専用の物理デバイスで、秘密鍵をオフライン環境で管理するウォレットです。

  • メリット最も安全性の高い保管方法。秘密鍵がインターネットから完全に隔離されている(コールドウォレット)ため、オンラインからのハッキングリスクをほぼゼロにできる。
  • デメリット:デバイスの購入にコストがかかる(数千円〜数万円)。取引のたびにデバイスをPCに接続する必要があり、利便性はやや劣る。デバイス自体の紛失や破損のリスクがある。

結論として、取引の利便性を重視するなら取引所のウォレット、セキュリティを重視し、特に長期保有を考えているならハードウェアウォレットの利用が推奨されます。 自分の保有額や投資スタイルに合わせて、適切な保管方法を選択することが資産を守る鍵となります。

利益が出た場合の税金

ビットコインの取引で利益が出た場合、その利益は税金の対象となります。暗号資産に関する税金のルールは複雑ですが、基本的なポイントを押さえておくことが重要です。

  • 所得区分:ビットコインの売買などで得た利益は、原則として「雑所得」に分類されます。これは給与所得や事業所得などとは別の扱いです。
  • 課税方式:雑所得は「総合課税」の対象となります。これは、給与所得など他の所得と合算した総所得金額に対して税率がかけられる方式です。所得が多い人ほど高い税率が適用される「累進課税」が採用されており、税率は5%から最大45%まで変動します(住民税10%は別途)。
  • 利益が確定するタイミング:以下のタイミングで、利益(または損失)が確定したものとみなされます。
    1. ビットコインを売却して日本円に換金した時
    2. ビットコインで他の暗号資産(アルトコイン)を購入した時
    3. ビットコインで商品やサービスを購入(決済)した時
  • 確定申告の必要性:会社員などの給与所得者の場合、給与所得・退職所得以外の所得(雑所得など)の合計額が年間で20万円を超えた場合に、原則として確定申告が必要です。

例えば、100万円で購入したビットコインが130万円に値上がりした時点で売却した場合、30万円の利益が発生します。この利益が20万円を超えているため、確定申告の対象となります。

年間の取引履歴(いつ、いくらで、どれだけ購入・売却したか)を正確に記録しておくことが非常に重要です。多くの取引所では、年間の取引レポートをダウンロードできる機能を提供しています。

税金の計算は非常に複雑なため、大きな利益が出た場合や判断に迷う場合は、必ず国税庁の公式サイトで最新情報を確認するか、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

参照:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」

ビットコインの買い方に関するよくある質問

最後に、ビットコインの購入を検討している初心者が抱きがちな、よくある質問とその回答をまとめました。

ビットコインはいくらから買えますか?

取引所によって異なりますが、多くの国内取引所では500円程度の少額から購入できます。中には、bitFlyerのように1円から購入可能な取引所もあります。

ビットコインは1BTCあたりの価格が高額(2024年5月時点で約1,000万円)なため、1枚単位でしか買えないと誤解されがちですが、実際には「0.001BTC」のように小数点以下の単位で購入できます。

そのため、高額な資金を用意しなくても、お小遣い程度の金額から気軽にビットコイン投資を始めることが可能です。初心者のうちは、まず無理のない少額から始めて、取引の感覚を掴むことをお勧めします。

スマートフォンのアプリだけで取引できますか?

はい、ほとんどの主要な国内取引所では、口座開設から本人確認、日本円の入金、ビットコインの売買、そして日本円の出金まで、すべての手続きをスマートフォンアプリだけで完結させることができます。

各社が提供するアプリは、初心者でも直感的に操作できるように設計されており、場所や時間を選ばずに手軽に資産状況の確認や取引が可能です。PCを持っていない方でも、スマートフォン一つあれば問題なくビットコイン取引を始められます。

未成年でもビットコインは買えますか?

いいえ、残念ながら日本国内のほとんどの暗号資産取引所では、未成年者(18歳未満)の口座開設を受け付けていません。

多くの取引所では、口座開設の年齢条件を「満18歳以上」または「満20歳以上」としています。これは、投資に伴うリスクや、法律(犯罪収益移転防止法)に基づく本人確認の要件などを考慮したものです。

口座開設の申し込み時に年齢確認が行われるため、条件を満たしていない場合は審査に通りません。成人になるのを待ってから、改めて口座開設を申し込みましょう。

コンビニでビットコインは買えますか?

コンビニの店頭で直接ビットコインを購入することはできません。

ただし、一部の暗号資産取引所では、開設した口座に日本円を入金する方法として「コンビニ入金」に対応しています。

この場合、取引所のサイトやアプリで入金申請を行い、発行された受付番号などを使ってコンビニの店頭端末(LoppiやFamiポートなど)を操作し、レジで現金で支払うという流れになります。これにより、24時間いつでも自分の取引所口座に資金を反映させることができます。あくまで「取引所への入金手段」の一つであり、コンビニが直接ビットコインを販売しているわけではない点を理解しておきましょう。

ビットコインの将来性は?

これは最も多くの人が関心を持つ質問ですが、ビットコインの将来性については、専門家の間でも意見が分かれており、一言で「上がる」とも「下がる」とも断言することはできません。 投資は常に自己責任で判断する必要があります。

以下に、将来性を判断する上でのポジティブな要素とネガティブな要素を挙げます。

ポジティブな要素(価格上昇要因)

  • 価値の保存手段としての認識拡大:発行上限があることから「デジタルゴールド」と呼ばれ、インフレヘッジ資産として、個人だけでなく一部の企業や機関投資家からも注目されています。
  • 決済手段としての普及:エルサルバドルや中央アフリカ共和国のように法定通貨として採用する国が現れたり、大手企業が決済手段として導入を検討したりする動きがあります。
  • 技術の発展:ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンは、金融以外にも様々な分野での応用が期待されています。

ネガティブな要素(価格下落要因)

  • 法規制の動向:各国の政府や中央銀行による規制強化の動きは、常に価格の不安定要因となります。
  • 価格変動の激しさ:ボラティリティの高さが、一般的な決済手段としての普及を妨げている側面もあります。
  • 環境問題:マイニング(採掘)に大量の電力を消費することが環境問題として指摘されており、今後の技術的な解決が課題となっています。
  • スケーラビリティ問題:一度に処理できる取引量に限りがあり、送金詰まりや手数料高騰の問題が指摘されています。

これらの様々な要因が複雑に絡み合って、ビットコインの価格は形成されています。将来性を信じるのであれば、短期的な価格の上下に一喜一憂せず、長期的な視点で保有し続ける戦略が有効かもしれません。いずれにせよ、十分な情報収集を行い、自身で納得した上で投資判断を下すことが何よりも重要です。