仮想通貨積立におすすめの取引所5選 メリットや銘柄の選び方も解説

仮想通貨積立におすすめの取引所5選、メリットや銘柄の選び方も解説

仮想通貨(暗号資産)への投資と聞くと、「価格変動が激しくて怖い」「専門知識がないと難しそう」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、近年、そうした不安を解消し、初心者でも始めやすい投資手法として「仮想通貨積立」が注目を集めています。

仮想通貨積立は、毎月決まった日に決まった金額を自動的に購入していくシンプルな投資方法です。この手法を活用することで、投資のタイミングに悩むことなく、感情的な判断に惑わされずに、長期的な視点でコツコツと資産形成を目指せます。

この記事では、仮想通貨積立の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして積立サービスを提供しているおすすめの仮想通貨取引所まで、網羅的に解説します。さらに、自分に合った取引所の選び方や、積立に適した銘柄の選定方法、具体的な始め方についても詳しく説明していきます。

本記事を読めば、仮想通貨積立に関するあらゆる疑問が解消され、自信を持って第一歩を踏み出せるようになるでしょう。未来の資産形成のために、新しい選択肢として仮想通貨積立を検討してみてはいかがでしょうか。

仮想通貨の積立投資とは

仮想通貨の積立投資は、近年多くの投資家から注目されている資産形成の手法の一つです。価格変動の大きい仮想通貨市場において、リスクを管理しながら長期的なリターンを目指すための有効な戦略として知られています。ここでは、その基本的な概念と、リスクを抑える仕組みについて詳しく解説します。

仮想通貨を毎月コツコツ購入する投資方法

仮想通貨の積立投資とは、あらかじめ設定したスケジュール(例:毎月1回、毎日1回など)で、決まった金額分の仮想通貨を継続的に自動で購入していく投資方法です。この手法は、投資信託の世界で広く知られている「積立投信」の仮想通貨版と考えると理解しやすいでしょう。

一度、積立の設定(購入する銘柄、1回あたりの購入金額、購入頻度)を行えば、あとはシステムが自動で買い付けを実行してくれます。そのため、投資家は日々の価格変動を常にチェックしたり、売買のタイミングを都度判断したりする必要がありません。

この「定時定額」での購入が、積立投資の最も重要なポイントです。例えば、「毎月1日に1万円分のビットコインを購入する」といった設定をしておけば、その時々のビットコインの価格に関わらず、1万円分の買い付けが自動的に行われます。

なぜこのシンプルな方法が有効なのでしょうか。その背景には、仮想通貨市場の特性が関係しています。仮想通貨は24時間365日、世界中で取引されており、価格は常に変動しています。この変動の要因は、各国の規制動向、技術的なアップデート、著名人の発言、マクロ経済の状況など多岐にわたり、プロのトレーダーであっても将来の価格を正確に予測することは極めて困難です。

投資初心者が「安い時に買って、高い時に売りたい」と考えても、「今が本当に安いのか?」「もっと下がるのではないか?」といった迷いが生じ、結局最適なタイミングを逃してしまうことが少なくありません。積立投資は、こうした「タイミングを計る投資」の難しさから解放してくれる点が大きな魅力です。購入タイミングをシステムに委ねることで、心理的な負担なく、淡々と資産を積み上げていくことが可能になります。

また、多くの仮想通貨取引所では、月々1,000円や1日100円といった少額から積立が始められるサービスを提供しています。これにより、まとまった資金がない方や、まずは少しずつ試してみたいという投資初心者でも、気軽に資産形成をスタートできる環境が整っています。

ドルコスト平均法でリスクを抑える仕組み

仮想通貨積立がリスク管理に有効とされる最大の理由は、「ドルコスト平均法」という投資手法の効果を自然に得られる点にあります。

ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を、常に一定の金額で、定期的に買い続ける手法です。この方法を用いると、価格が高い時には購入できる数量が少なくなり、逆に価格が安い時には購入できる数量が多くなります。これを長期的に継続することで、結果的に平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。

具体的な例で考えてみましょう。ある仮想通貨を毎月1万円ずつ積み立てるケースを想定します。

1通貨あたりの価格 購入金額 購入数量
1月 100円 10,000円 100通貨
2月 120円 10,000円 約83.3通貨
3月 80円 10,000円 125通貨
4月 100円 10,000円 100通貨

この4ヶ月間の投資を振り返ってみましょう。

  • 総投資額: 10,000円 × 4ヶ月 = 40,000円
  • 総購入数量: 100 + 83.3 + 125 + 100 = 408.3通貨
  • 平均購入単価: 40,000円 ÷ 408.3通貨 ≒ 97.9円

この期間の価格の平均値は (100 + 120 + 80 + 100) ÷ 4 = 100円です。しかし、ドルコスト平均法を用いたことで、平均購入単価は97.9円となり、市場の平均価格よりも安く購入できたことがわかります。これは、価格が安かった3月(80円)に、他の月よりも多くの数量(125通貨)を自動的に購入できたためです。

この仕組みは、価格変動(ボラティリティ)が大きい金融商品ほど効果を発揮しやすいとされています。仮想通貨は、株式や債券といった伝統的な資産クラスと比較して価格変動が非常に激しいことで知られています。そのため、ドルコスト平均法との相性が非常に良いのです。

一括で大きな資金を投じる場合、もしそのタイミングが価格のピーク(高値)であった場合、長期にわたって含み損を抱えることになります。これを「高値掴み」と呼びますが、投資における典型的な失敗パターンの一つです。

積立投資であれば、購入タイミングが複数回に分散されるため、一度に高値掴みをしてしまうリスクを大幅に低減できます。たとえ積立期間中に価格が下落する局面があったとしても、それは「より多くの数量を安く仕込めるチャンス」と捉えることができます。そして、その後の価格回復局面において、より大きなリターンを期待できる可能性があるのです。

このように、仮想通貨積立は、ドルコスト平均法の力を利用して、価格変動リスクを平準化し、感情的な判断を排除することで、長期的かつ安定的な資産形成を目指すための極めて合理的な投資戦略と言えます。

仮想通貨積立の5つのメリット

少額から始められる、投資のタイミングに悩む必要がない、時間や手間がかからない、感情に左右されずに投資できる、価格変動リスクを抑えられる

仮想通貨の積立投資は、その手軽さとリスク抑制効果から、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっています。ここでは、積立投資がもたらす具体的な5つのメリットについて、それぞれ詳しく掘り下げていきます。

① 少額から始められる

仮想通貨積立の最大のメリットの一つは、誰でも気軽に始められる「少額投資」が可能である点です。多くの仮想通貨取引所では、積立サービスを月々1,000円程度、あるいは1日あたり数百円といった非常に低い金額から設定できるようになっています。

これは、投資に対して「まとまった資金が必要」「お金持ちがやるもの」といった心理的なハードルを感じている人々にとって、大きな魅力となります。例えば、毎月のランチ代を一度節約する、あるいは毎日のコーヒー代を少し切り詰めるだけで、将来のための資産形成をスタートできるのです。

具体的に、多くの取引所では以下のような設定が可能です。

  • Coincheck: 月々1万円から(毎日積立プランも選択可能)
  • GMOコイン: 月々500円から
  • bitFlyer: 1回1円から
  • Zaif: 月々1,000円から

このように、数百円から数千円という単位で始められるため、自分の収入やライフスタイルに合わせて無理のない範囲で投資計画を立てられます。「まずは仮想通貨投資がどのようなものか試してみたい」という初心者の方が、お試し感覚でスタートするのにも最適です。

もし投資した仮想通貨の価格が下落したとしても、投資額が少額であれば精神的なダメージも小さく済みます。この「失敗しても大きな痛手にならない」という安心感が、投資への第一歩を踏み出しやすくさせてくれるのです。

そして、少額から始めた後でも、資金に余裕ができたタイミングや、仮想通貨投資への理解が深まった段階で、積立金額を柔軟に増額することも可能です。最初は月々1,000円でスタートし、慣れてきたら5,000円、1万円とステップアップしていくことで、リスクをコントロールしながら徐々に資産形成のペースを上げていくことができます。

このように、仮想通貨積立は、投資初心者から経験者まで、あらゆる層のニーズに応える柔軟性と手軽さを兼ね備えた投資手法なのです。

② 投資のタイミングに悩む必要がない

「いつ買えばいいのか?」——これは、あらゆる投資において投資家が直面する最も根源的で難しい問題です。特に仮想通貨市場は、24時間365日、休むことなく価格が変動し続けています。その値動きは非常に激しく、数時間のうちに10%以上も価格が上下することも珍しくありません。

このような市場で、個人投資家が「底値」を正確に見極めて購入することは、プロのトレーダーでも至難の業です。多くの初心者は、価格が急騰しているのを見て「乗り遅れたくない」という焦り(FOMO: Fear Of Missing Out)から高値で購入してしまったり、逆に価格が下落しているのを見て「もっと下がるかもしれない」という恐怖から購入をためらったりしがちです。

仮想通貨積立は、この「タイミングの悩み」から投資家を完全に解放してくれます。

積立投資では、「毎月1日」「毎日午前10時」のように、あらかじめ決めたルールに従ってシステムが自動的に買い付けを実行します。その時の価格が高いか安いかは一切考慮しません。この機械的なアプローチにより、投資家は日々の価格チャートに一喜一憂する必要がなくなります。

「もっと安いタイミングで買えたのに…」といった後悔や、「あの時買っておけば…」といった機会損失の感覚から解放されることは、精神衛生上、非常に大きなメリットです。投資において冷静な判断を保つことは極めて重要ですが、積立投資はその冷静さをシステムが担保してくれます。

これにより、投資家は貴重な時間を価格の監視に費やすことなく、本業や趣味、家族との時間に集中できます。投資の判断という最もストレスフルな部分を自動化できることこそ、仮想通貨積立が多くの人に支持される理由の一つなのです。

③ 時間や手間がかからない

現代社会は多忙です。仕事、家事、育児、自己啓発など、多くの人が限られた時間の中で様々なタスクをこなしています。そんな中で、資産形成のために多くの時間を割くことは容易ではありません。

仮想通貨積立は、「ほったらかし投資」とも呼ばれるほど、時間や手間がかからない点が大きなメリットです。必要な作業は、最初の「積立設定」だけです。

  1. 取引所の口座を開設する
  2. 積立サービスに申し込む
  3. 積立したい銘柄、金額、頻度を設定する
  4. 銀行口座から自動引落の設定をする(または定期的に入金する)

この初期設定さえ完了すれば、あとは毎月(あるいは毎日)、システムが全自動で仮想通貨を買い付けてくれます。自分で取引所のアプリを開いて売買注文を出すといった作業は一切不要です。

裁量トレード(自分の判断で売買する手法)の場合、最適な売買タイミングを見極めるために、常に市場のニュースを追いかけ、チャートのテクニカル分析を行い、世界経済の動向をチェックするなど、多大な時間と労力が必要になります。しかし、積立投資であれば、そうした専門的な分析や情報収集に時間を費やす必要はありません。

もちろん、長期的な視点で自分が投資している銘柄の将来性を定期的に確認することは重要ですが、日々の細かな値動きを追う必要はないのです。

この「手間いらず」という特性は、以下のような人々にとって特に魅力的です。

  • 本業が忙しい会社員や自営業者
  • 家事や育児に追われる主婦・主夫
  • 投資に時間をかけたくないが、資産形成はしておきたい人
  • 専門的な知識を学ぶのが苦手な投資初心者

仮想通貨積立は、「時間をかけずに、将来のために賢くお金を働かせる」という理想的な資産形成の形を、誰でも簡単に実現できるツールと言えるでしょう。

④ 感情に左右されずに投資できる

投資の世界で成功を阻む最大の敵は、しばしば「自分自身の感情」であると言われます。人間の心理は、価格の変動によって大きく揺さぶられます。

  • 強欲 (Greed): 価格が急騰していると、「もっと上がるはずだ」「このチャンスを逃したくない」という欲が生まれ、冷静な判断を欠いた高値掴みにつながります。
  • 恐怖 (Fear): 価格が急落していると、「価値がゼロになるかもしれない」「これ以上損をしたくない」という恐怖に駆られ、本来は長期保有すべき資産を底値で売却してしまう「狼狽売り」につながります。

これらの感情的な行動は、多くの場合、「高値で買い、安値で売る」という最悪の投資結果を招きます。

仮想通貨積立は、この人間的な弱点を克服するための非常に効果的な仕組みです。積立投資は、あらかじめ定められたルールに従って、市場の状況に関わらず淡々と買い付けを続けます。相場が熱狂に包まれていようと、悲観に満ちていようと、システムは感情を持つことなく、ただ愚直に自分の仕事をこなすだけです。

この機械的なプロセスにより、投資家は自身の感情を投資判断から切り離すことができます。価格が下がっている局面は、多くの人が恐怖を感じて市場から離脱するタイミングですが、積立投資家にとっては「安く買える絶好の機会」となります。逆に、価格が急騰して周囲が浮かれている時も、冷静に一定額を買い付けることで、過度なリスクを取ることを防ぎます。

このように、感情を排した規律ある投資を強制的に実行できることが、積立投資の大きな強みです。長期的な資産形成においては、短期的な市場のノイズに惑わされず、一貫した戦略を継続することが成功の鍵となります。仮想通貨積立は、その規律を誰でも簡単に実践できる、強力なパートナーとなってくれるのです。

⑤ 価格変動リスクを抑えられる

前述の「ドルコスト平均法」の解説とも重なりますが、仮想通貨積立は価格変動リスク(ボラティリティ)を効果的に低減させるという、極めて重要なメリットを持っています。

仮想通貨は、その価格変動の激しさが魅力であると同時に、最大のリスクでもあります。一括投資の場合、購入したタイミングがその後の資産価値を大きく左右します。もし運悪く最高値圏で投資してしまった場合、価格が回復するまで長期間にわたって評価損を抱え続けることになりかねません。

一方、積立投資は購入タイミングを時間的に分散させます。例えば、120万円を一度に投資するのではなく、毎月10万円ずつ1年間にわたって投資する場合、購入のタイミングは12回に分かれます。

この時間分散により、様々な価格水準で仮想通貨を購入することになります。ある月は高値で買ってしまうかもしれませんが、別の月には安値で買うことができるでしょう。これを繰り返すことで、最終的な平均購入単価は平準化され、一点集中の高値掴みリスクを回避できるのです。

このリスク抑制効果は、特に仮想通貨のように価格のアップダウンが激しい資産に投資する際に、精神的な安定をもたらします。積立投資を行っていれば、市場が下落しても「来月はもっと安く買えるかもしれない」と前向きに捉えることができます。長期的に見れば、下落相場は将来の利益の源泉となる「仕込みの期間」となるのです。

もちろん、積立投資が元本割れのリスクをゼロにするわけではありません。しかし、購入価格を平準化することで、急激な価格変動に対する耐性を高め、長期的に安定したリターンを目指す土台を築くことができます。リスクを完全に避けるのではなく、賢く付き合っていく。それが仮想通貨積立の本質的なメリットと言えるでしょう。

仮想通貨積立の3つのデメリット

短期間で大きな利益は狙いにくい、手数料がかかる場合がある、元本割れのリスクがある

仮想通貨積立は多くのメリットを持つ一方で、投資である以上、デメリットや注意すべき点も存在します。これらを事前に理解しておくことは、 realistic な期待値を持ち、長期的に投資を継続する上で非常に重要です。ここでは、主な3つのデメリットについて詳しく解説します。

① 短期間で大きな利益は狙いにくい

仮想通貨積立の最大のメリットである「リスク抑制」は、裏を返せば「リターンの抑制」にもつながります。積立投資は、時間をかけてコツコツと資産を積み上げていく、いわば「マラソン」のような長期的な戦略です。そのため、短期間で資産を数倍、数十倍に増やすような、いわゆる「一攫千金」を狙う投資手法ではありません。

例えば、ある仮想通貨の価格が1ヶ月で2倍になったとします。もし、その月の初めに一括で10万円を投資していれば、月末には資産は20万円になっています(利益10万円)。しかし、同じ10万円を1ヶ月間、毎日積立(約3,333円/日)していた場合、購入単価が徐々に上がっていくため、月末の資産は20万円よりも少なくなります。価格が上昇し続ける局面では、ドルコスト平均法は一括投資に比べてリターンが小さくなる傾向があるのです。

この特性から、仮想通貨積立は以下のような目的を持つ投資家には不向きかもしれません。

  • デイトレードやスイングトレードで日々の値動きから利益を得たい人
  • 数ヶ月といった短い期間で、爆発的なリターンを狙いたい人
  • 市場のタイミングを読んで、底値で一気に大きな資金を投入する自信がある人

積立投資は、あくまで長期的な資産の成長を複利効果も活かしながら目指すものです。「すぐに儲かる」という期待を持つと、なかなか資産が増えないことに焦りを感じ、途中でやめてしまう可能性があります。

仮想通貨積立を始める際は、その時間軸を理解し、「5年後、10年後を見据えた資産形成の手段」として捉えることが重要です。短期的なリターンを求めるのではなく、将来のための種まきと割り切って、じっくりと腰を据えて取り組む姿勢が求められます。この時間軸のミスマッチを防ぐことが、積立投資を成功させるための第一歩です。

② 手数料がかかる場合がある

仮想通貨積立は「ほったらかし」で便利な反面、その利便性の対価として手数料が発生する場合があります。この手数料は、長期間にわたって積み重なると、無視できないコストとなり、最終的なリターンを押し下げる要因になります。

仮想通貨積立で注意すべき主な手数料は以下の通りです。

  1. 取引手数料:
    積立の都度、購入金額に対して一定割合(例:0.1%)の手数料がかかる場合があります。ただし、多くの取引所では積立サービスの取引手数料を無料としていることが多いです。
  2. スプレッド:
    これが実質的な手数料として最も注意すべき項目です。多くの積立サービスは、取引所がユーザーに仮想通貨を販売する「販売所」の形式を利用しています。販売所では、買値(Ask)と売値(Bid)に価格差が設けられており、この差を「スプレッド」と呼びます。利用者は常に市場の仲値よりも少し高い価格で購入することになり、このスプレッドが取引所の利益となります。
    例えば、ビットコインの仲値が500万円の時に、販売所の購入価格が505万円であれば、5万円分(1%)のスプレッドが上乗せされていることになります。このスプレッドは、取引所や市場の流動性によって変動しますが、積立のたびに発生する隠れたコストです。
  3. 入金手数料:
    積立資金を取引所に入金する際に、銀行振込手数料やクイック入金手数料がかかる場合があります。毎月振込を行う場合、この手数料も積み重なります。
  4. 口座管理手数料:
    現在、ほとんどの国内取引所では口座管理手数料は無料ですが、将来的に導入される可能性はゼロではありません。

これらの手数料、特にスプレッドは、長期的な運用パフォーマンスに直接影響します。例えば、スプレッドが2%の取引所で毎月3万円を積み立てると、年間で 3万円 × 12ヶ月 × 2% = 7,200円 のコストがかかる計算になります。これが10年続けば72,000円です。

したがって、積立を始める前には、各取引所の手数料体系をしっかりと比較検討することが不可欠です。取引手数料が無料であっても、スプレッドが広く設定されている場合、トータルコストでは不利になることもあります。「手数料」という言葉だけでなく、「スプレッド」を含めた実質的なコストを把握し、できるだけコストの低い取引所を選ぶことが、長期的なリターンを最大化するための賢明な選択と言えるでしょう。

③ 元本割れのリスクがある

仮想通貨積立は、ドルコスト平均法によって価格変動リスクを「低減」する効果がありますが、リスクを「ゼロ」にする魔法の杖ではありません。投資である以上、元本割れ(投資した総額よりも資産価値が下回ること)のリスクは常に存在します。

積立投資の前提は、長期的には投資対象の資産価値が右肩上がりに成長することです。もし、購入した仮想通貨の価格が、積立期間中から将来にわたって下落し続ける、あるいは価値がゼロになってしまった場合、どれだけドルコスト平均法を駆使しても、投資元本を回収することはできません。

仮想通貨市場はまだ歴史が浅く、法規制の整備も途上です。以下のような要因によって、価格が長期的に低迷する、あるいは暴落する可能性は否定できません。

  • 世界的な金融引き締め: 金利が上昇する局面では、リスク資産である仮想通貨から資金が流出しやすくなります。
  • 各国の厳しい規制: 特定の国が仮想通貨の取引やマイニングを禁止するなど、ネガティブな規制が導入されると市場全体が冷え込みます。
  • 技術的な欠陥やハッキング: 投資している仮想通貨のブロックチェーンに重大な脆弱性が見つかったり、大規模なハッキング被害に遭ったりすると、信頼性が失われ価格が暴落する可能性があります。
  • プロジェクトの失敗: アルトコインの場合、開発が停滞したり、コミュニティが離散したりして、プロジェクト自体が実質的に失敗に終わるケースもあります。

これらのリスクを完全に排除することは不可能です。そのため、仮想通貨積立を行う上では、「最悪の場合、投資した資金がゼロになる可能性もある」という覚悟を持っておくことが大切です。

このリスクを管理するためには、以下の点が重要になります。

  • 余剰資金で投資する: 生活費や近い将来に使う予定のあるお金ではなく、当面使う予定のない余剰資金の範囲内で投資を行う。
  • 銘柄選定を慎重に行う: 一時的な流行りや根拠のない噂で銘柄を選ぶのではなく、時価総額が大きく、実績のある銘柄(ビットコインやイーサリアムなど)をコアに据える。
  • 分散投資を心がける: 複数の銘柄に分散して積み立てることで、特定の銘柄が暴落した際の影響を和らげる。

仮想通貨積立は、あくまで資産形成の一つの選択肢です。そのリスクとリターンを正しく理解し、自分のリスク許容度の範囲内で、賢く活用していくことが求められます。

仮想通貨の積立投資におすすめの取引所5選

日本国内には、仮想通貨の積立サービスを提供する取引所が複数存在します。それぞれに特徴や強みがあるため、自分の投資スタイルや目的に合った取引所を選ぶことが重要です。ここでは、特におすすめの5つの取引所をピックアップし、その特徴と積立サービスの詳細を解説します。

取引所名 最低積立金額 積立頻度 取扱銘柄数(積立) 手数料(スプレッド) 特徴
Coincheck 10,000円/月~ 毎日・毎月 30種類以上 販売所スプレッド 初心者向け、アプリが使いやすい
GMOコイン 500円/回~ 毎日・毎月 26種類 販売所スプレッド 手数料が安い、サービスが豊富
bitFlyer 1円/回~ 毎日・毎週・毎月2回・毎月1回 22種類 販売所スプレッド 国内最大手、セキュリティに定評
Zaif 1,000円/月~ 毎月 6種類 取引手数料(0.1~0.2%)+スプレッド 独自の積立方式、ユニークな銘柄
BITRADE 1,000円/回~ 毎日・毎月 40種類 販売所スプレッド 取扱銘柄数が国内トップクラス
※取扱銘柄数やサービス内容は2024年5月時点の情報を基にしており、変更される可能性があります。最新の情報は各取引所の公式サイトでご確認ください。

① Coincheck(コインチェック)

Coincheckは、アプリのダウンロード数が国内トップクラスで、特に仮想通貨取引の初心者から絶大な支持を得ている取引所です。シンプルで直感的に操作できるインターフェースが特徴で、「これから仮想通貨を始めたい」という方に最適な選択肢の一つです。

特徴

  • 圧倒的に分かりやすいアプリ: Coincheckのスマートフォンアプリは、そのデザイン性と使いやすさに定評があります。現在の資産状況や各銘柄の価格推移が一目でわかり、複雑な操作を必要としません。
  • 豊富な取扱銘柄: 積立サービスで選べる銘柄が30種類以上と非常に多く、ビットコインやイーサリアムといった主要銘柄はもちろん、様々なアルトコインへの分散投資が可能です。
  • 大手金融グループ傘下の安心感: 2018年より東証プライム上場のマネックスグループの傘下に入り、経営基盤やセキュリティ体制が大幅に強化されています。

積立サービスの詳細

Coincheckの積立サービスは「Coincheckつみたて」という名称で提供されています。

  • 積立プラン: 「月イチつみたてプラン」と「毎日つみたてプラン」の2種類から選択できます。
  • 最低積立金額: 月々10,000円からで、1,000円単位で設定が可能です。1日あたりの積立額は約300円からとなります。
  • 積立タイミング: 毎月指定の日に、設定した月額が銀行口座から自動で引き落とされ、プランに応じて毎日または毎月1回、買い付けが行われます。
  • 手数料: 口座振替手数料および取引手数料は無料です。ただし、買い付けは販売所で行われるため、実質的なコストとしてスプレッドが発生します。
  • 対象銘柄: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)をはじめ、30種類以上の仮想通貨に対応しており、選択肢の幅が広いです。(参照:Coincheck公式サイト)

こんな人におすすめ:

  • とにかく簡単に、スマホで手軽に積立を始めたい仮想通貨初心者
  • 多くのアルトコインの中から積立対象を選びたい人

② GMOコイン

GMOコインは、東証プライム上場のGMOインターネットグループが運営する仮想通貨取引所です。グループで培った金融サービスのノウハウを活かし、手数料の安さやサービスの豊富さで多くのユーザーから支持されています。

特徴

  • 各種手数料が安い: 日本円の即時入金・出金手数料が無料、仮想通貨の送付手数料も無料と、コストを抑えて取引したいユーザーにとって非常に魅力的です。
  • 積立以外のサービスも充実: ステーキングや貸暗号資産(レンディング)など、購入した仮想通貨を運用してさらに収益を得るためのサービスが充実しており、中長期的な資産運用に適しています。
  • 信頼性の高い運営体制: 大手IT企業グループが運営しているという安心感があります。

積立サービスの詳細

GMOコインの積立サービスは「つみたて暗号資産」という名称で提供されています。

  • 最低積立金額: ワンコイン(500円)から設定可能で、非常に少額から始められるのが大きな特徴です。
  • 積立頻度: 「毎日」または「毎月」のプランからライフスタイルに合わせて選択できます。
  • 購入方法: 毎月指定日に口座から引き落とされるのではなく、事前に取引口座へ日本円を入金しておく「ワンタッチ入金」または「振込入金」方式です。積立日に口座残高が不足していると買い付けが行われないため、注意が必要です。
  • 手数料: 取引手数料は無料ですが、販売所での買い付けとなるためスプレッドがかかります。
  • 対象銘柄: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など、26種類の仮想通貨に対応しています。(参照:GMOコイン公式サイト)

こんな人におすすめ:

  • できるだけコストを抑えて積立をしたい人
  • 500円といった少額からお試しで始めてみたい人
  • 積立と合わせてステーキングや貸暗号資産も利用したい人

③ bitFlyer(ビットフライヤー)

bitFlyerは、2014年からサービスを提供している国内の老舗仮想通貨取引所の一つです。ビットコインの取引量は国内トップクラスであり、長年の運営実績と強固なセキュリティ体制で多くのユーザーから信頼を得ています。

特徴

  • 業界最長の運営実績と高いセキュリティ: サービス開始以来、ハッキング被害などの大きな事故がなく、セキュリティ対策に力を入れていることで知られています。
  • 豊富な積立頻度: 積立の頻度を「毎日1回」「毎週1回」「毎月2回」「毎月1回」の4パターンから選べるため、より細かなニーズに対応できます。
  • 1円からの積立設定: 積立金額を1円単位で設定できるため、非常に柔軟な資金計画が可能です。

積立サービスの詳細

bitFlyerの積立サービスは「bitFlyer かんたん積立」という名称です。

  • 最低積立金額: 1回あたり1円からという、業界で最も低い水準から積立が可能です。
  • 積立頻度: 「毎日」「毎週」「毎月2回(1日と15日)」「毎月1回」の4種類から選択でき、非常に柔軟性が高いです。
  • 購入方法: 事前に取引口座へ日本円を入金しておく方式です。銀行口座からの自動引落にも対応しています。
  • 手数料: 積立手数料は無料ですが、スプレッドが発生します。
  • 対象銘柄: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など22種類の仮想通貨に対応しています。(参照:bitFlyer公式サイト)

こんな人におすすめ:

  • セキュリティと信頼性を最も重視する人
  • 自分の好きなタイミング(毎週や月2回など)で積み立てたい人
  • ポイントサイトなどで貯めたポイントを元手に、少額から始めたい人

④ Zaif(ザイフ)

Zaifは、他社とは少し異なるユニークな積立サービスを提供していることで知られる仮想通貨取引所です。特に、独自の「Zaifコイン積立」は、ドルコスト平均法を実践したい投資家から根強い人気があります。

特徴

  • 独自のコイン積立サービス: 毎月固定の日本円で、その時の価格に応じて仮想通貨を買い付ける、ドルコスト平均法に特化したサービスです。
  • 手数料体系が明確: 他社がスプレッド(実質手数料)であるのに対し、Zaifは「取引手数料」としてコストが明示されています(ただし、スプレッドも別途存在します)。
  • ユニークなトークンの取扱い: 他の取引所ではあまり見られない、カイカコイン(CICC)やフィスココイン(FSCC)といったトークンを積立対象にできる場合があります。

積立サービスの詳細

「Zaifコイン積立」は、毎月27日に指定の銀行口座から設定金額が自動的に引き落とされ、翌月10日から翌々月9日にかけて、毎日分割して買い付けが行われるという特徴的な仕組みです。

  • 最低積立金額: 月々1,000円以上、1,000円単位で設定できます。
  • 積立頻度: 毎月1回の引き落とし後、日割りで買い付けが行われます。
  • 手数料: 買い付け金額に応じて0.1%〜0.2%の積立手数料がかかります。これは他社が無料としている点との違いです。ただし、手数料が明確であるという見方もできます。
  • 対象銘柄: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ネム(XEM)など6種類に対応しています。(参照:Zaif公式サイト)

こんな人におすすめ:

  • 銀行口座からの自動引き落としで、手間なく完全に自動化したい人
  • 手数料体系が明確なサービスを好む人
  • ネム(XEM)など、Zaifならではの銘柄に興味がある人

⑤ BITRADE(ビットトレード)

BITRADEは、世界トップクラスの取引所であるHuobi(フォビ)グループと提携しており、取扱銘柄の豊富さが最大の魅力です。グローバル水準のサービスを日本で利用したいユーザーに適しています。

特徴

  • 国内トップクラスの取扱銘柄数: 積立サービスで選べる銘柄が40種類と、この記事で紹介する中では最も多く、多様なポートフォリオを組みたい上級者にも対応できます。
  • グローバルな流動性: 世界的な取引所との連携により、安定した取引環境が提供されています。
  • シンプルな積立サービス: 機能はシンプルで分かりやすく、初心者でも迷わずに設定できます。

積立サービスの詳細

BITRADEの積立サービスは、その豊富な銘柄数が特徴です。

  • 最低積立金額: 1回あたり1,000円から設定が可能です。
  • 積立頻度: 「毎日」または「毎月」から選択できます。
  • 購入方法: 事前に取引口座への入金が必要です。
  • 手数料: 取引手数料は無料ですが、販売所形式のためスプレッドがかかります。
  • 対象銘柄: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)はもちろん、アプトス(APT)やドージコイン(DOGE)など、40種類の豊富な銘柄から選択できます。(参照:BITRADE公式サイト)

こんな人におすすめ:

  • とにかく多くの銘柄に分散して積み立てたい人
  • 将来有望なアルトコインを早期からコツコツと仕込みたい人
  • グローバル基準の取引環境を求める人

仮想通貨積立を行う取引所の選び方

取扱銘柄の種類で選ぶ、手数料で選ぶ、最低積立金額で選ぶ、積立の頻度やタイミングで選ぶ

数ある取引所の中から、自分に最適な一つを見つけることは、仮想通貨積立を成功させるための重要なステップです。ここでは、取引所を選ぶ際に比較検討すべき4つの主要なポイントを解説します。これらの基準を元に、先ほど紹介した5つの取引所を比較し、自分の投資スタイルに合った場所を見つけましょう。

取扱銘柄の種類で選ぶ

まず最初に考えるべきは、「どの仮想通貨を積み立てたいか」ということです。これが決まっていなければ、取引所を選ぶことはできません。各取引所によって、積立サービスで取り扱っている銘柄の種類と数は大きく異なります。

  • 王道銘柄を積み立てたい場合:
    もし、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった時価総額が高く、最もポピュラーな銘柄だけを積み立てたいのであれば、ほとんどの取引所が対応しているため、選択肢は広くなります。この場合は、他の要素(手数料や最低積立金額)を重視して選ぶと良いでしょう。
  • 様々なアルトコインに分散投資したい場合:
    将来性を見込んでいる特定のアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)を積み立てたい場合や、複数の銘柄に分散してリスクを管理したい場合は、取扱銘柄数が豊富な取引所を選ぶ必要があります。
    例えば、BITRADEは40種類、Coincheckは30種類以上の銘柄に対応しており、多様なポートフォリオを構築したい投資家にとって非常に魅力的です。一方で、Zaifのように、取扱銘柄を厳選している取引所もあります。

自分の投資戦略を明確にすることが、最初のステップです。「まずはビットコインから」と考えるのか、「将来性のあるアルトコインAとBにも投資したい」と考えるのかによって、最適な取引所は自ずと絞られてきます。各取引所の公式サイトで、自分が興味のある銘柄が積立対象になっているかを必ず確認しましょう。

手数料で選ぶ

積立投資は長期にわたる運用が前提となるため、手数料は将来的なリターンに直接影響を与える非常に重要な要素です。わずかな手数料の差でも、5年、10年と積み重なれば、大きな金額の差となって表れます。

チェックすべき手数料は主に以下の3つです。

  1. 積立手数料(取引手数料):
    積立の都度かかる手数料です。多くの取引所(Coincheck、GMOコイン、bitFlyerなど)では、この手数料を「無料」としています。一方、Zaifのように、買い付け金額に対して一定率の手数料(0.1%〜0.2%)を設定しているところもあります。
  2. スプレッド(実質的な手数料):
    これが最も注意すべきコストです。多くの積立サービスは、ユーザーが売買を行う「取引所」形式ではなく、運営会社とユーザーが取引する「販売所」形式を利用しています。販売所では、買値と売値に意図的に差が設けられており、この差(スプレッド)が実質的な手数料となります。
    スプレッドは取引所によって異なり、また市場の状況によっても変動します。一般的に、流動性の低い銘柄や、市場が急変動している時はスプレッドが広がる傾向があります。手数料無料と謳っていても、スプレッドが広ければトータルコストは高くなります。各社のスプレッドを正確に比較するのは難しいですが、口コミやレビューを参考に、スプレッドが狭いと評判の取引所(例:GMOコイン)を選ぶのは賢明な戦略です。
  3. 入出金手数料:
    積立資金を取引所に入金する際や、利益を確定して日本円を出金する際の手数料です。GMOコインのように、即時入金や出金の手数料が無料の取引所は、トータルコストを抑える上で非常に有利です。毎月銀行振込で入金する場合、その振込手数料も考慮に入れる必要があります。CoincheckZaifが提供する銀行口座からの自動引落サービスは、入金の手間と手数料を省けるというメリットがあります。

長期的な視点に立てば、手数料(特にスプレッド)は低ければ低いほど良いというのは間違いありません。コスト意識を高く持ち、各社の手数料体系を総合的に比較検討しましょう。

最低積立金額で選ぶ

次に、「どれくらいの金額から始めたいか」という、自分の予算に合った取引所を選ぶことが大切です。無理のない範囲で継続することが、積立投資の成功の鍵だからです。

  • お試しで、とにかく少額から始めたい人:
    「まずは仮想通貨投資がどんなものか体験してみたい」「失敗しても痛くない金額で始めたい」という方には、最低積立金額が低い取引所が最適です。
    bitFlyerは1回1円から、GMOコインは1回500円からという驚異的な少額設定が可能です。これなら、お小遣いの範囲内で気軽にスタートできます。
  • ある程度まとまった金額で着実に積み立てたい人:
    月々1万円以上など、ある程度まとまった金額で計画的に積み立てたい場合は、ほとんどの取引所が選択肢に入ります。Coincheckの最低積立金額は月々10,000円から、Zaifは月々1,000円からです。

最低積立金額は、投資への参入ハードルに直結します。自分の経済状況やリスク許容度を正直に見つめ直し、「この金額なら、たとえ価格が下がってもストレスなく続けられる」と思える範囲で設定できる取引所を選びましょう。最初に高い目標を掲げてしまい、途中で支払いが苦しくなって積立を停止してしまうのが最も避けるべきパターンです。

積立の頻度やタイミングで選ぶ

最後に、「どのくらいの頻度で積み立てたいか」という、自分のライフスタイルや投資哲学に合った選択肢を提供しているかも確認しましょう。

  • 時間分散の効果を最大化したい人:
    ドルコスト平均法の理論的な効果をより高めたいのであれば、購入タイミングをできるだけ細かく分散させるのが理想的です。その場合、「毎日積立」に対応している取引所(Coincheck、GMOコイン、bitFlyer、BITRADEなど)が適しています。毎日購入することで、日々の細かな価格変動をならし、より平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。
  • 給料日に合わせて管理したい人:
    多くの人は給料日が月に1回です。そのタイミングに合わせて資金管理をしたいという場合は、「毎月積立」がシンプルで分かりやすいでしょう。ほとんどの取引所がこのプランに対応しています。
  • より柔軟な設定をしたい人:
    bitFlyerは、「毎日」「毎週」「毎月1回」「毎月2回(1日と15日)」という4つの頻度から選べます。「毎週金曜日に積み立てたい」「月の前半と後半に分けて購入したい」といった、より細かなニーズに応えることができます。

積立頻度によるリターンの差は、超長期的に見ればそれほど大きくないという研究もあります。そのため、理論的な優劣にこだわりすぎるよりも、自分が管理しやすく、続けやすいと感じる頻度を選ぶことが最も重要です。また、銀行口座からの自動引落に対応しているかどうかも、手間を省く上で大きなポイントになります。CoincheckZaifの自動引落サービスは、「入金を忘れて買い付けができなかった」という事態を防げるため、多忙な方には特におすすめです。

積立におすすめの仮想通貨銘柄の選び方

時価総額が高く安定している銘柄を選ぶ、将来性や技術的な特徴で選ぶ、分散投資を意識して複数の銘柄を選ぶ

取引所を選んだら、次は「どの仮想通貨を積み立てるか」という、投資の核心部分を決めなければなりません。数千種類以上も存在する仮想通貨の中から、長期的な資産形成に適した銘柄を選ぶには、いくつかの重要な視点があります。ここでは、銘柄選定のための3つの基本的な考え方を紹介します。

時価総額が高く安定している銘柄を選ぶ

仮想通貨投資の初心者、あるいは長期的に安定した資産形成を目指すのであれば、まず検討すべきは時価総額の高い銘柄です。

時価総額とは、「仮想通貨の価格 × 発行済み数量」で算出される指標で、その仮想通貨の市場における規模や評価額を示します。時価総額が高いということは、それだけ多くの投資家から資金が投じられ、市場での信頼性や知名度が高いことを意味します。

時価総額の高い銘柄(いわゆるメジャーコイン)には、以下のようなメリットがあります。

  • 流動性が高い: 売買が活発に行われているため、「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」可能性が高いです。これにより、安定した価格形成が期待できます。
  • 価格の安定性: 時価総額の低いマイナーなコイン(草コイン)に比べて、価格変動が比較的緩やかである傾向があります。もちろん、仮想通貨全体としてボラティリティは高いですが、その中でも相対的に安定しています。
  • 情報の豊富さ: 多くの投資家やアナリストが注目しているため、関連ニュースや分析レポートなどの情報を得やすいです。
  • 存続可能性の高さ: 長い歴史と多くの支持者に支えられており、プロジェクトが突然消滅してしまうリスクが比較的低いと考えられます。

具体的には、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)がその代表格です。この2銘柄は、常に時価総額ランキングの1位と2位を占めており、仮想通貨市場の根幹を成す存在です。積立投資のポートフォリオを組む上で、これらの銘柄をコア(中心)に据えることは、非常に堅実で合理的な戦略と言えるでしょう。特に初めて仮想通貨積立を行う方は、まずこの2つのどちらか、あるいは両方から始めることを強くおすすめします。

将来性や技術的な特徴で選ぶ

時価総額だけでなく、その仮想通貨が持つ独自の技術や、将来どのような分野で活用される可能性があるのかという、質的な側面から銘柄を選ぶことも重要です。長期投資は、そのプロジェクトの未来に賭ける行為でもあるからです。

銘柄の将来性を評価するためには、以下のような視点でリサーチを行うと良いでしょう。

  • プロジェクトの目的: その仮想通貨やブロックチェーンは、「世の中のどのような課題を解決するために生まれたのか」を理解することが基本です。例えば、リップル(XRP)は「国際送金の非効率性を解決する」、チェーンリンク(LINK)は「ブロックチェーンに外部の現実世界のデータを提供する」といった明確な目的を持っています。この目的が社会的に意義があり、実現可能性があるかを考えます。
  • 技術的な優位性: 他のプロジェクトと比較して、技術的にどのような強みがあるのかを調べます。処理速度(スケーラビリティ)、セキュリティ、分散性のバランスや、独自のコンセンサスアルゴリズムなどが評価のポイントになります。
  • エコシステムの広がり: そのブロックチェーン上で、どれだけ多くのアプリケーション(DApps)が開発・利用されているか、どれだけ多くの企業や開発者が参画しているかも重要な指標です。イーサリアムは、その巨大なエコシステムが最大の強みとなっています。
  • 開発チームとコミュニティ: プロジェクトを推進する開発チームの実績やビジョン、そしてプロジェクトを支えるコミュニティの活発さも、将来性を測る上で欠かせません。

これらの情報を得るためには、各プロジェクトの公式サイトに掲載されている「ホワイトペーパー」を読んでみたり、公式ブログやSNS、開発者コミュニティ(GitHubなど)の動向をチェックしたりすることが有効です。もちろん、すべてを完璧に理解する必要はありませんが、自分が大切なお金を投じる対象について、その背景やビジョンを少しでも理解しようと努める姿勢が、長期投資を続ける上での納得感やモチベーションにつながります。

分散投資を意識して複数の銘柄を選ぶ

「卵は一つのカゴに盛るな」という投資格言があるように、一つの銘柄にすべての資金を集中させるのは、高いリスクを伴います。 たとえそれがビットコインであったとしても、予期せぬ要因で価格が長期的に低迷する可能性はゼロではありません。

このリスクを軽減するための有効な手段が「分散投資」です。性質の異なる複数の銘柄に資金を分けて投資することで、ある銘柄の価格が下落しても、他の銘柄がその損失をカバーしてくれる効果が期待できます。

仮想通貨における分散投資の考え方には、いくつかのパターンがあります。

  • 異なる役割を持つ銘柄の組み合わせ:
    例えば、「価値の保存手段」としての側面が強いビットコインと、「スマートコントラクトプラットフォーム」として様々なアプリケーションの基盤となるイーサリアムを組み合わせる。これは最も基本的な分散投資の形です。
  • 異なる分野の銘柄への分散:
    上記の2つに加えて、例えば「国際送金」分野のリップル(XRP)や、「Web3.0のインフラ」を目指すポルカドット(DOT)ソラナ(SOL)など、異なるユースケースを持つ銘柄をポートフォリオに加えることで、より多角的なリスク分散が可能になります。
  • 時価総額の異なる銘柄の組み合わせ:
    資産の大部分(例:70%)は時価総額の高いビットコインやイーサリアムで安定性を確保しつつ、残りの一部(例:30%)を、よりハイリスク・ハイリターンな中堅アルトコインに振り分ける、といった戦略も考えられます。

重要なのは、やみくもに銘柄数を増やすのではなく、それぞれの銘柄がポートフォリオ全体の中でどのような役割を担うのかを意識して選ぶことです。最初は2〜3銘柄から始め、徐々に自分の知識やリスク許容度に合わせてポートフォリオを調整していくのが良いでしょう。多くの取引所では、複数の銘柄を同時に積み立てる設定が可能なので、この分散投資を手軽に実践できます。

積立投資におすすめの代表的な仮想通貨3選

銘柄選びの考え方を踏まえ、ここでは積立投資の対象として特に人気が高く、多くの専門家からも評価されている代表的な3つの仮想通貨を紹介します。これから積立を始める方は、まずこれらの銘柄から検討してみるのが良いでしょう。

① ビットコイン(BTC)

ビットコインは、2009年に運用が開始された世界で最初の仮想通貨です。すべての仮想通貨の元祖であり、圧倒的な知名度と最大の時価総額を誇ります。仮想通貨市場全体の動向は、ビットコインの価格に大きく影響されることが多く、まさに市場の基軸通貨と言える存在です。

積立におすすめの理由:

  • 「デジタルゴールド」としての価値: ビットコインは発行上限が2,100万枚とプログラムで定められており、金(ゴールド)のように希少性があります。このため、法定通貨のように中央銀行の金融政策によって価値が希釈されることがなく、長期的なインフレヘッジ(インフレから資産価値を守る)手段や、価値の保存手段として注目されています。この「デジタルゴールド」という独自の立ち位置が、長期保有の強力な根拠となっています。
  • 圧倒的な信頼性と実績: 10年以上にわたって一度もシステムダウンすることなく稼働し続けてきた実績は、他のどの仮想通貨にもない強みです。世界中に分散されたネットワークによって支えられており、極めて高いセキュリティと耐改ざん性を誇ります。
  • 機関投資家の参入: 近年、大手企業や金融機関が資産としてビットコインを保有する動きが加速しており、社会的な受容性が高まっています。これは、ビットコインが単なる投機の対象ではなく、正式な資産クラスとして認知されつつあることを示しています。

仮想通貨積立を始める上で、ビットコインはポートフォリオの土台として最も無難かつ堅実な選択肢です。どの取引所でも必ず取り扱っており、情報も豊富なため、初心者でも安心して投資を始められます。

② イーサリアム(ETH)

イーサリアムは、ビットコインに次ぐ時価総額第2位の仮想通貨です。単なる決済手段にとどまらず、「スマートコントラクト」というプログラムをブロックチェーン上で実行できるプラットフォームであることが最大の特徴です。この機能により、イーサリアムは様々な分散型アプリケーション(DApps)の基盤となっています。

積立におすすめの理由:

  • 巨大なエコシステムと将来性: イーサリアムのブロックチェーン上では、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)、GameFi(ゲームファイ)、DAO(自律分散型組織)など、Web3.0時代を象徴する革新的なプロジェクトが数多く開発・利用されています。この巨大で活発なエコシステムはイーサリアムの最大の強みであり、今後もプラットフォームとしての価値が高まっていくことが期待されます。
  • 継続的なアップデート: イーサリアムは、スケーラビリティ問題(処理速度の遅延や手数料の高騰)などを解決するため、常に技術的なアップデートが続けられています。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行など、将来を見据えた開発が活発に行われており、プロジェクトとしての成長性が高いと評価されています。
  • 実用性の高さ: ビットコインが「価値の保存」に重点を置いているのに対し、イーサリアムは「実用性」に強みがあります。様々なサービスの基盤として実際に利用されているため、その需要が価格を支える要因となっています。

ビットコインが「金」に例えられるなら、イーサリアムは「インターネットやOSのようなインフラ」に例えられます。その将来的な成長性に期待して投資したい場合に、最適な選択肢の一つです。

③ リップル(XRP)

リップル(XRP)は、アメリカのリップル社が開発を主導する仮想通貨で、主に国際送金の効率化を目指して設計されました。現在の国際送金が抱える「時間がかかる」「手数料が高い」といった課題を、ブロックチェーン技術を用いて解決することを目的としています。

積立におすすめの理由:

  • 明確なユースケース(利用目的): リップルは、「国際送金のブリッジ通貨(橋渡し役)」という非常に明確で実用的な目的を持っています。銀行などの金融機関がリップルの送金ネットワークを利用することで、数秒かつ低コストでの国際送金が可能になるとされています。この実需に基づいたプロジェクトである点が、他の多くの仮想通貨との違いです。
  • 金融機関との提携: リップル社は、世界中の数百の銀行や金融機関と提携関係を結んでおり、そのネットワークを拡大し続けています。これらの金融機関でXRPの利用が本格化すれば、その需要は飛躍的に高まる可能性があります。
  • 高速・低コストな処理: XRPの決済は3〜5秒程度で完了し、手数料も非常に安価です。この技術的な優位性は、国際送金だけでなく、マイクロペイメント(少額決済)など他の分野への応用も期待されています。

ただし、リップル(XRP)は、米証券取引委員会(SEC)から「未登録有価証券」であるとして提訴されるなど、法的な問題を抱えてきた歴史もあります。こうした訴訟リスクは価格の不安定要因となるため、投資する際はプラス面だけでなく、マイナス面も十分に理解しておく必要があります。明確な実用性に魅力を感じる投資家にとっては、ポートフォリオの一部に加える価値のある銘柄と言えるでしょう。

仮想通貨積立の始め方3ステップ

仮想通貨取引所の口座を開設する、日本円を入金する、積立の設定を行う

仮想通貨の積立投資を始めるのは、思った以上に簡単です。複雑な手続きはほとんどなく、スマートフォン一つあれば、誰でもすぐにスタートできます。ここでは、実際に積立を始めるための具体的な3つのステップを分かりやすく解説します。

① 仮想通貨取引所の口座を開設する

最初のステップは、積立サービスを提供している仮想通貨取引所の口座を開設することです。どの取引所を選ぶかは、前述の「取引所の選び方」を参考に、ご自身の目的に合ったところを選びましょう。

口座開設の基本的な流れは、どの取引所でもほぼ同じです。

  1. 公式サイトへアクセス:
    まずは、口座を開設したい取引所の公式サイトにアクセスし、「口座開設」や「無料登録」といったボタンをクリックします。
  2. メールアドレスとパスワードの登録:
    画面の指示に従い、メールアドレスを入力し、パスワードを設定します。登録したメールアドレスに確認メールが届くので、メール内のリンクをクリックして本登録に進みます。
  3. 基本情報の入力:
    氏名、住所、生年月日、電話番号、職業、年収、投資経験などの基本情報を入力します。これらの情報は、法律(犯罪収益移転防止法)に基づいて正確に入力する必要があります。
  4. 本人確認:
    次に、本人確認手続きを行います。現在、ほとんどの取引所では「スマホでかんたん本人確認」(e-KYC)というシステムを導入しています。これは、スマートフォンのカメラで以下の2点を撮影してアップロードするだけで、オンライン上で本人確認が完結する非常に便利な方法です。

    • 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
    • 自分の顔写真(セルフィー): 画面の指示に従って、顔を正面から撮影したり、首を振ったりします。

この手続きは、通常5〜10分程度で完了します。その後、取引所側で審査が行われ、早ければ当日中、遅くとも数営業日以内には口座開設が完了し、取引を開始できるようになります。

② 日本円を入金する

口座開設が完了したら、次に積立の原資となる日本円を取引所の口座に入金します。主な入金方法は以下の通りです。

  • 銀行振込:
    取引所が指定する銀行口座へ、自分の銀行口座から振り込む最も一般的な方法です。振込手数料は自己負担となる場合が多いです。取引所によっては、振込人名義の前に特定の番号を入力する必要があるなど、独自のルールがあるので注意しましょう。
  • クイック入金(インターネットバンキング入金):
    提携している金融機関のインターネットバンキングを利用して、24時間リアルタイムで入金できる方法です。手数料が無料の場合が多く、即座に口座に反映されるため非常に便利です。多くのユーザーがこの方法を利用しています。
  • コンビニ入金:
    一部の取引所では、コンビニエンスストアの端末を利用して入金することも可能です。

どの方法で入金するかは、ご自身が利用している銀行や利便性に応じて選びましょう。

なお、CoincheckやZaifのように、銀行口座からの自動引落による積立サービスを提供している場合、この入金手続きは不要です。積立日に自動で引き落とされるため、手間が省けて非常に便利です。

③ 積立の設定を行う

日本円の入金が完了したら、いよいよ最後のステップ、積立の設定です。各取引所のウェブサイトやアプリにログインし、積立サービスのページ(「Coincheckつみたて」「つみたて暗号資産」など)にアクセスします。

設定する項目は、どの取引所でも基本的に以下の3つです。

  1. 積立する銘柄(通貨):
    ビットコイン、イーサリアムなど、自分が積み立てたい仮想通貨を選択します。複数の銘柄を同時に積み立てる設定も可能です。
  2. 積立金額:
    1回あたり、あるいは1ヶ月あたりに積み立てる金額を設定します。各取引所の最低積立金額以上の金額を、自分の予算に合わせて入力します。
  3. 積立頻度(コース・プラン):
    「毎日積立」や「毎月積立」など、どのくらいの頻度で買い付けを行うかを選択します。

これらの項目を入力し、内容を確認して設定を完了すれば、あとはすべて完了です。設定したスケジュールに従って、システムが自動的に仮想通貨の買い付けを開始してくれます。

あとは、時々資産状況を確認する程度で、基本的には「ほったらかし」でOKです。これで、あなたも仮想通貨による長期的な資産形成の第一歩を踏み出したことになります。

仮想通貨の積立投資が向いている人

長期的な視点で資産形成をしたい人、投資に時間をかけたくない人、投資の専門知識がない初心者

仮想通貨積立は、誰にでもおすすめできる万能な投資手法というわけではありません。その特性を理解すると、特にどのような人に適しているかが見えてきます。もしあなたが以下のいずれかに当てはまるなら、仮想通貨積立は非常に有効な資産形成の選択肢となるでしょう。

長期的な視点で資産形成をしたい人

仮想通貨積立は、短期的な利益を追求するトレードとは対極にある投資スタイルです。その本質は、ドルコスト平均法を活用して、5年、10年、あるいはそれ以上といった長い時間をかけて、将来のための資産をじっくりと育てていくことにあります。

日々の価格の上下に一喜一憂するのではなく、「将来的にこの仮想通貨の価値は上がっているはずだ」という長期的なビジョンを持ち、市場のノイズに惑わされずにコツコツと継続できる人に向いています。

例えば、

  • 子供の教育資金や自分たちの老後資金など、遠い将来のライフイベントに備えたい人
  • すぐに使う予定のない余剰資金を、将来のために有効活用したいと考えている人
  • 短期的な値動きを追うことのストレスを感じたくない人

このような長期目線を持つ人にとって、積立投資は価格変動リスクを抑えながら、市場の成長の恩恵を受けるための合理的な戦略となります。逆に、すぐに結果を求めてしまう人や、短期的な刺激を求める人には、積立投資は退屈に感じられるかもしれません。

投資に時間をかけたくない人

現代人は、仕事や家庭、自己投資など、常に時間に追われています。そんな多忙な生活の中で、資産形成のために多くの時間を割くことは現実的ではありません。

仮想通貨積立は、「時間がない」という現代人の悩みを解決してくれる、まさに「タイパ(タイムパフォーマンス)」に優れた投資手法です。一度設定を完了してしまえば、あとはシステムが全自動で投資を実行してくれます。

  • 本業が忙しく、市場分析やニュースチェックに時間を割けないビジネスパーソン
  • 家事や育児に追われ、自分の時間がなかなか取れない主婦・主夫の方
  • 投資はしたいけれど、他に優先したい趣味や学びがある人

このような人々にとって、積立投資は理想的です。自分でチャートを分析したり、売買のタイミングを計ったりする必要が一切ないため、貴重な時間を犠牲にすることなく、賢く資産形成を進めることができます。「ほったらかし」で資産が育っていく環境を構築できることは、忙しい現代人にとって大きなメリットと言えるでしょう。

投資の専門知識がない初心者

「投資を始めたいけれど、何から勉強すればいいのかわからない」「テクニカル分析やファンダメンタルズ分析は難しそうで手が出せない」——。このように感じている投資初心者は少なくありません。

仮想通貨積立は、複雑な専門知識や投資経験がなくても、誰でも簡単に始められるという点で、初心者に最適な投資手法の一つです。

投資のタイミングという、プロでも難しい判断をシステムに任せることができます。これにより、「いつ買えばいいの?」という初心者が抱える最大の悩みが解消されます。また、価格が暴落した際にパニックになって売ってしまう「狼狽売り」のような、初心者が陥りがちな感情的な失敗を防ぐ効果もあります。

もちろん、自分が投資する銘柄の基本的な特徴や将来性について学ぶことは大切ですが、高度な分析スキルは必要ありません。「決まった額を、決まったタイミングで、買い続ける」というシンプルなルールに従うだけで、リスクを抑えた合理的な投資を実践できるのです。

仮想通貨投資への第一歩として、まずは積立から始めてみて、徐々に知識を深め、慣れてきたら他の投資手法にも挑戦してみる、というステップアップも可能です。積立投資は、初心者にとって最高の「練習の場」であり、かつ実践的な「資産形成のツール」となり得るのです。

仮想通貨積立に関するよくある質問

積立投資で得た利益に税金はかかりますか、いつでもやめられますか、積立と一括購入はどちらが良いですか、毎日積立と毎月積立はどちらがおすすめですか

仮想通貨積立を始めるにあたって、多くの人が抱くであろう疑問点をQ&A形式でまとめました。事前にこれらの点をクリアにしておくことで、より安心して投資をスタートできるでしょう。

積立投資で得た利益に税金はかかりますか?

はい、かかります。 仮想通貨の積立投資によって得た利益は、税法上の「雑所得」に分類されます。

具体的には、積み立てた仮想通貨を「売却(日本円に換金)」したり、「他の仮想通貨と交換」したり、「商品やサービスの決済に使用」したりして利益が確定した時点で、課税の対象となります。ただ積み立てて保有しているだけ(含み益の状態)では、税金は発生しません。

雑所得は、給与所得などの他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。所得金額に応じて税率が変わる「累進課税」が適用され、所得が多いほど税率も高くなります(住民税と合わせて最大55%)。

会社員などの給与所得者の場合、仮想通貨による利益(所得)が年間で20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。確定申告を怠ると、ペナルティとして追徴課税が課される可能性があるため、注意が必要です。

年間の取引履歴は、利用している取引所からダウンロードできます。利益が出た場合は、その記録をもとに、翌年の確定申告期間(通常2月16日〜3月15日)に必ず手続きを行いましょう。税金の計算は複雑な場合があるため、不安な方は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

いつでもやめられますか?

はい、いつでもやめられます。 ほとんどの仮想通貨取引所では、積立サービスの設定変更や停止(解約)を、オンライン上でいつでも簡単に行うことができます。

「資金的に厳しくなった」「投資方針が変わった」といった理由で積立を停止したい場合、取引所のウェブサイトやアプリから数クリックで手続きが完了します。違約金や解約手数料のようなペナルティは一切かかりません。

また、積立設定を停止しても、それまでに購入・保有している仮想通貨が勝手に売却されることはありません。そのまま保有し続けることも、好きなタイミングで売却することも自由です。この手軽さと柔軟性の高さも、積立投資の魅力の一つです。

積立と一括購入はどちらが良いですか?

これは投資家のリスク許容度や投資スタイルによって答えが変わる、永遠のテーマの一つです。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方を選ぶことが重要です。

  • 積立投資がおすすめな人:
    • リスクをできるだけ抑えたい人: 時間分散によって高値掴みのリスクを回避し、価格変動をならしたい方。
    • 投資のタイミングを判断するのが苦手な人: 「いつ買うか」で悩みたくない方。
    • コツコツと長期で資産形成をしたい人: 精神的な負担なく、規律ある投資を続けたい方。
  • 一括購入がおすすめな人:
    • より大きなリターンを狙いたい人: 価格が上昇し続ける相場では、最初に一括投資した方がリターンは大きくなります。
    • 市場の底値を読む自信がある人: 「今が絶好の買い場だ」と判断できる知識と経験、そしてリスクを取る覚悟がある方。
    • まとまった資金を一度に投資したい人: 手元に大きな余剰資金がある方。

結論として、多くの初心者や、リスクを重視する投資家にとっては、精神的な負担が少なく、失敗の確率を下げられる「積立投資」から始めるのが賢明と言えるでしょう。

毎日積立と毎月積立はどちらがおすすめですか?

これもよくある質問ですが、どちらが絶対的に優れているという明確な答えはありません。それぞれの特徴を理解して、自分の考え方やライフスタイルに合った方を選びましょう。

  • 毎日積立:
    • メリット: 購入タイミングをより細かく分散できるため、理論上はドルコスト平均法の効果を最大限に高めやすいです。日々の細かな価格変動をより平準化できます。
    • デメリット: 毎日のように購入履歴が増えるため、後で損益計算をする際に管理が少し煩雑になる可能性があります。
  • 毎月積立:
    • メリット: 給料日に合わせて設定するなど、資金管理がしやすいです。取引履歴もシンプルで見やすいです。
    • デメリット: 購入タイミングが月に1回しかないため、毎日積立に比べると時間分散の効果はやや薄れます。

いくつかの研究では、長期的に見れば毎日積立と毎月積立のリターンの差はごくわずかである、という結果も出ています。したがって、理論的な優劣にこだわりすぎるよりも、「自分が管理しやすく、続けやすい」と感じる頻度を選ぶのが最も合理的です。どちらか迷うのであれば、まずは管理がしやすい「毎月積立」から始めてみるのが良いかもしれません。

まとめ:自分に合った取引所で仮想通貨積立を始めよう

この記事では、仮想通貨の積立投資について、その仕組みからメリット・デメリット、おすすめの取引所、銘柄の選び方まで、幅広く解説してきました。

仮想通貨積立の最大の魅力は、「少額」から始められ、「時間や手間をかけずに」、「感情に左右されず」に、価格変動の「リスクを抑えながら」長期的な資産形成を目指せる点にあります。これは、投資の専門知識がない初心者の方や、本業で忙しい方にとって、非常に合理的な投資手法です。

もちろん、短期間で大きな利益は狙いにくく、元本割れのリスクもゼロではありません。しかし、そのリスクを正しく理解し、余剰資金の範囲内で長期的な視点に立って取り組むことで、将来の資産を育てる強力なツールとなり得ます。

積立投資を成功させるための第一歩は、自分に合った仮想通貨取引所を選ぶことです。その際には、以下のポイントを総合的に比較検討しましょう。

  • 取扱銘柄: 自分が投資したい銘柄を扱っているか。
  • 手数料: スプレッドを含めた実質的なコストは低いか。
  • 最低積立金額: 自分の予算で無理なく始められるか。
  • 積立頻度や利便性: 自分のライフスタイルに合っているか。

本記事で紹介したCoincheck、GMOコイン、bitFlyer、Zaif、BITRADEといった取引所は、それぞれに異なる強みを持っています。ぜひ、この記事の情報を参考にして、ご自身に最適なパートナーを見つけてください。

仮想通貨市場はまだ発展途上であり、大きな可能性を秘めています。その未来への投資を、まずはリスクを抑えた積立という形で、少額から始めてみてはいかがでしょうか。今日始める小さな一歩が、10年後、20年後のあなたの未来を大きく変えるかもしれません。