仮想通貨取引において、価格の動向を正確に把握し、売買のタイミングを見極めることは成功への鍵となります。そのために不可欠なツールが「仮想通貨チャートアプリ」です。スマートフォン一つで、いつでもどこでもリアルタイムの価格情報を確認し、高度な分析まで行えるこれらのアプリは、現代のトレーダーにとって必須アイテムと言えるでしょう。
しかし、国内外の取引所が提供する公式アプリから、分析に特化した専門的なアプリまで、その種類は多岐にわたります。初心者にとっては「どれを選べばいいのか分からない」、中上級者にとっても「もっと自分のトレードスタイルに合ったアプリはないか」という悩みは尽きません。
この記事では、仮想通貨チャートアプリの基本的な機能から、あなたの投資戦略に最適なアプリを見つけるための選び方、そして具体的なおすすめアプリ10選までを徹底的に解説します。さらに、アプリを最大限に活用するためのメリットや注意点、初心者が最初に覚えるべきチャート分析の基本についても触れていきます。
この記事を読めば、数ある選択肢の中から自分にぴったりのチャートアプリを見つけ出し、仮想通貨取引の精度を一段と高めることができるでしょう。
目次
仮想通貨チャートアプリとは
仮想通貨チャートアプリは、その名の通り、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとする様々な仮想通貨の価格変動をグラフ(チャート)で表示・分析するためのスマートフォン向けアプリケーションです。24時間365日、常に価格が変動し続ける仮想通貨市場において、リアルタイムで値動きを把握し、将来の価格を予測するためのテクニカル分析を行う上で、極めて重要な役割を果たします。
かつてはパソコンの前に座って専門的なトレーディングツールを使わなければできなかったような高度な分析も、今では手のひらの上のスマートフォンで手軽に行えるようになりました。これにより、通勤時間や休憩中といった隙間時間を活用して市場をチェックし、取引のチャンスを逃さないことが可能になっています。
仮想通貨チャートアプリでできること
仮想通貨チャートアプリが提供する機能は多岐にわたりますが、主に以下のようなことが可能です。これらの機能を理解することで、アプリがトレーダーにとってどれほど強力な武器になるかが分かるでしょう。
- リアルタイムでの価格確認: 最も基本的な機能です。秒単位で更新される最新の価格を、直感的に分かりやすいチャートで確認できます。多くのアプリでは、複数の仮想通貨の価格を一覧で表示するウォッチリスト機能も備わっています。
- テクニカル分析: 移動平均線、MACD、RSIといった「テクニカル指標(インジケーター)」をチャート上に表示させ、市場のトレンドや過熱感を分析できます。また、トレンドラインや水平線を自分で描画し、独自の分析を加えることも可能です。
- アラート(価格通知)機能: 「ビットコインが700万円になったら」「イーサリアムが前日比で10%下落したら」といった条件をあらかじめ設定しておくことで、その条件を満たした際にスマートフォンにプッシュ通知を送ってくれます。これにより、常にチャート画面を見ていなくても、重要な価格変動や売買タイミングを逃しにくくなります。
- ポートフォリオ管理: 自分が保有している仮想通貨の銘柄と数量を登録することで、資産全体の現在価値や前日からの増減率などを自動で計算し、一覧表示してくれます。複数の取引所やウォレットに資産が分散している場合でも、一元的に管理できるため非常に便利です。
- ニュース・情報収集: 多くのアプリには、仮想通貨に関連する最新ニュースや、重要な経済指標の発表スケジュールなどを確認できる機能が搭載されています。価格変動の要因となる情報をいち早くキャッチアップできます。
- 仮想通貨の取引: 国内外の仮想通貨取引所が提供する公式アプリの場合、チャート分析から実際の売買注文までをシームレスに行えます。分析して「今だ」と思った瞬間に、アプリを切り替えることなく取引を完結できる手軽さは大きな魅力です。
これらの機能は、仮想通貨取引の初心者から経験豊富なプロトレーダーまで、あらゆるレベルのユーザーにとって有益なものばかりです。
アプリは主に2種類|取引所公式と分析専門
仮想通貨チャートアプリは、その提供元と主目的によって大きく2種類に分類できます。「取引所公式アプリ」と「チャート分析専門アプリ」です。それぞれの特徴を理解し、自分の目的や利用シーンに合わせて選ぶことが重要です。
取引所公式アプリ
Coincheck(コインチェック)やbitFlyer(ビットフライヤー)といった、仮想通貨取引所自身が開発・提供しているアプリです。
- メリット: 最大のメリットは、チャートを見ながらそのまま取引できる点です。分析から注文までの流れが非常にスムーズで、アプリを切り替える手間がかかりません。特に、価格の急変時に迅速な対応が求められる短期売買(スキャルピングやデイトレード)において、この利便性は絶大な効果を発揮します。また、その取引所の口座と直接連携しているため、保有資産の管理も簡単です。多くは初心者でも直感的に操作できるよう、シンプルで分かりやすいインターフェースになっています。
- デメリット: 機能がその取引所に限定される点がデメリットです。分析できるのはその取引所が上場している仮想通貨のみであり、表示される価格もその取引所のものに限られます。また、テクニカル指標や描画ツールの種類は、後述する分析専門アプリに比べて少ない傾向があります。複数の取引所を利用している場合、それぞれの公式アプリをインストール・管理する必要があり、手間が増える可能性があります。
- 向いている人: 特定の取引所をメインに利用している人、チャート分析から取引までを一つのアプリで完結させたい人、仮想通貨取引を始めたばかりの初心者などにおすすめです。
チャート分析専門アプリ
TradingView(トレーディングビュー)やCoinMarketCap(コインマーケットキャップ)のように、取引機能を持たず、チャート分析や情報収集に特化したアプリです。
- メリット: 分析機能の豊富さと対応範囲の広さが最大の強みです。数百種類ものテクニカル指標や高度な描画ツールを利用でき、プロのトレーダーが使うような本格的な分析が可能です。また、世界中の多くの取引所の価格データを集約しているため、マイナーなアルトコインのチャートを表示したり、取引所ごとの価格差(アービトラージ)を確認したりすることもできます。ポートフォリオ管理機能も高機能なものが多く、様々な取引所やウォレットに分散した資産を一元管理するのに非常に役立ちます。
- デメリット: ほとんどのアプリは、それ単体で取引を行うことができません(一部、API連携で取引可能なものもあります)。分析の結果、売買したいと思った場合は、別途取引所のアプリやウェブサイトを開いて注文を出す必要があります。また、機能が非常に豊富なため、初心者にとってはどこから手をつけていいか分からず、複雑に感じてしまう可能性があります。
- 向いている人: 複数の取引所を利用している人、本格的なテクニカル分析を深く追求したい中〜上級者、情報収集やポートフォリオ管理を主目的とする人におすすめです。
最終的には、「取引所公式アプリ」で手軽に取引を行い、「分析専門アプリ」で詳細な分析や情報収集を行うという併用が、最も効率的で強力なスタイルと言えるでしょう。
仮想通貨チャートアプリの選び方7つのポイント
数多くの仮想通貨チャートアプリの中から、自分にとって最適な一つを見つけ出すためには、いくつかの重要な選択基準があります。ここでは、アプリ選びで失敗しないための7つのポイントを詳しく解説します。自分のトレードスタイルや目的と照らし合わせながら、どのポイントを重視するかを考えてみましょう。
① チャートの見やすさと操作性
初心者から上級者まで、すべての人にとって最も重要なのが「チャートの見やすさと操作性」です。どれだけ高機能であっても、使いにくければ意味がありません。特に、値動きの激しい仮想通貨市場では、直感的に操作できるかどうかが取引の成否を分けることさえあります。
- UI(ユーザーインターフェース)の直感性: メニューの配置が分かりやすく、目的の機能にすぐにたどり着けるか。ボタンやアイコンのデザインが直感的で、何を意味するのか一目で理解できるかが重要です。
- チャートの視認性: ローソク足の色分け(陽線・陰線)が明確で見やすいか。背景色やグリッド線の表示・非表示をカスタマイズできると、さらに自分好みの見やすい画面を作れます。
- 操作の快適さ: チャートの拡大・縮小(ピンチイン・ピンチアウト)や、過去のチャートへのスクロールがスムーズに行えるか。時間足(1分足、5分足、1時間足、日足など)の切り替えが簡単かどうかもチェックしましょう。ストレスなく操作できることは、長時間の分析でも疲れにくいというメリットに繋がります。
多くのアプリでは、口座開設をしなくてもデモ画面でチャートを確認できる場合があります。実際にいくつか触ってみて、「自分にとって心地よい」と感じるアプリを選ぶことが、継続して利用する上での第一歩です。
② 分析ツールの豊富さ(テクニカル指標・描画ツール)
テクニカル分析を重視するトレーダーにとって、利用できる分析ツールの種類と質はアプリ選びの生命線です。
- テクニカル指標(インジケーター):
- 基本的な指標の網羅: 移動平均線(SMA/EMA)、MACD(マックディー)、RSI(相対力指数)、ボリンジャーバンドなど、基本的なテクニカル指標が揃っているかは最低限確認したいポイントです。
- 応用的な指標の有無: 一目均衡表やフィボナッチ・リトレースメント、ストキャスティクスなど、より高度な分析に用いる指標が搭載されているか。自分の得意な分析手法で使う指標が含まれているかを確認しましょう。
- カスタマイズ性: 各指標のパラメータ(期間設定など)を自由に変更できるかどうかも重要です。自分の戦略に合わせた微調整が可能になります。
- 描画ツール:
- 基本ツールの使いやすさ: トレンドラインや水平線(サポートライン・レジスタンスライン)、チャネルラインなどを、チャート上に正確かつ簡単に引けるか。線の色や太さを変更できると、視覚的に分かりやすい分析ができます。
- 高度なツールの種類: フィボナッチ・リトレースメントやギャンファンなど、より複雑な描画ツールの種類も、中〜上級者にとっては重要な選択基準となります。
本格的な分析を行いたいのであれば、世界中のトレーダーに利用されている「TradingView」の機能を搭載したアプリ(例: bitbank)や、TradingViewそのもののアプリを選ぶのが確実です。
③ 対応している仮想通貨の種類
ビットコインやイーサリアムといった主要な通貨だけでなく、様々なアルトコイン(草コイン)の取引も考えている場合、アプリが対応している通貨の種類は非常に重要になります。
- 取扱通貨数: アプリによって、対応している通貨の数は数十種類から数千種類以上と大きく異なります。取引したい、あるいは分析したいと考えている銘柄がリストに含まれているかを事前に必ず確認しましょう。
- 取引所公式アプリの場合: その取引所に上場している通貨しかチャート表示・取引ができません。マイナーなアルトコインを取引したい場合は、取扱通貨数が多いことで知られる取引所のアプリを選ぶ必要があります。
- 分析専門アプリの場合: CoinMarketCapやCoinGeckoのようなアプリは、世界中のほぼすべての仮想通貨のデータを網羅しているため、情報収集や分析の観点では非常に強力です。まだ取引所には上場していないような新しいプロジェクトの動向を追うことも可能です。
自分が興味のある通貨ペア(例: BTC/JPY, ETH/BTCなど)に対応しているかも合わせて確認しておきましょう。
④ アラート(価格通知)機能の有無と使いやすさ
24時間市場が動いている仮想通貨において、アラート機能は機会損失を防ぎ、リスク管理を行う上で欠かせない機能です。
- 設定条件の柔軟性:
- 価格指定アラート: 「ビットコインが750万円に到達したら通知」といった、特定の価格を指定できるか。
- 変動率アラート: 「イーサリアムが1時間で5%以上変動したら通知」など、価格変動率で設定できるか。
- テクニカル指標アラート: より高度なものでは、「移動平均線がゴールデンクロスしたら通知」といった、テクニカル指標の状態を条件にできるアプリもあります。
- 設定の容易さ: チャート画面から直接、直感的にアラートを設定できるか。複雑な手順が必要だと、いざという時に設定が間に合わない可能性があります。
- 通知の信頼性: 設定した条件通りに、遅延なく確実に通知が届くか。これは実際に使ってみないと分からない部分もありますが、アプリのレビューなどで確認するのも一つの手です。
この機能を使えば、四六時中チャートに張り付いている必要がなくなり、精神的な負担を大きく軽減できます。
⑤ アプリ内で取引できるか
チャート分析の結果を、いかにスムーズに実際の取引に結びつけられるかは、収益に直結する重要なポイントです。
- ワンストップの利便性: 取引所公式アプリの最大の強みです。分析でエントリーポイントを見つけたら、アプリを切り替えることなく数タップで注文が完了します。このスピード感は、特に短期売買で威力を発揮します。
- 分析専門アプリとの連携: TradingViewなど一部の分析専門アプリは、取引所の口座とAPIキーで連携させることで、アプリ上から直接取引できる機能を備えています。設定に少し手間はかかりますが、高度な分析と取引を両立させたい場合に有効な選択肢です。
「分析はPCや専門アプリ、取引は公式アプリ」と割り切るスタイルもありますが、スマホだけで完結させたい場合は、このポイントを重視しましょう。
⑥ スマホ・PCなど対応デバイス
自分のトレード環境に合わせて、利用できるデバイスを確認することも大切です。
- マルチデバイス対応: スマートフォンアプリ(iOS/Android)だけでなく、PCで利用できるWebブラウザ版やデスクトップアプリが提供されているか。自宅では大画面のPCでじっくり分析し、外出先ではスマホで手軽にチェックするといった使い分けができます。
- 設定の同期機能: PCで描画したトレンドラインや設定したインジケーターが、スマホアプリにも自動で同期されるかは非常に重要なポイントです。この機能があれば、デバイスが変わっても同じ環境で分析を継続でき、非常に効率的です。TradingViewなど、この同期機能が強力なツールは多くのトレーダーに支持されています。
普段どのような環境でチャートを見ることが多いかを考え、それに合ったアプリを選びましょう。
⑦ 利用料金(無料か有料か)
多くの仮想通貨チャートアプリは、基本的な機能を無料で利用できますが、より高度な機能を使うためには有料プランへの加入が必要な場合があります。
- 無料プランでできること: ほとんどの取引所公式アプリは、口座を保有していれば無料で全機能を利用できます。分析専門アプリの場合、無料プランでは表示できるインジケーターの数や設定できるアラートの数に制限があることが一般的です。
- 有料プランのメリット: 有料プランにアップグレードすると、以下のようなメリットがあります。
- 広告が非表示になる
- 利用できるテクニカル指標や描画ツールの数が増える
- 設定できるアラートの数が増える
- 複数のチャートを同時に表示できるレイアウト機能が使える
- より短い時間足(秒足など)が利用できる
- コストパフォーマンス: 自分の利用頻度や必要とする機能と、月額・年額の料金を比較検討し、コストパフォーマンスを見極めることが重要です。
まずは無料プランでアプリの使い勝手を試し、機能に物足りなさを感じたら有料プランを検討する、というステップを踏むのが最も賢明な方法です。
【2024年最新】仮想通貨チャートアプリおすすめ10選を徹底比較
ここでは、これまで解説してきた選び方のポイントを踏まえ、数ある仮想通貨チャートアプリの中から特におすすめの10個を厳選して紹介します。初心者向けの取引所公式アプリから、プロも愛用する分析専門アプリまで幅広くピックアップしました。それぞれの特徴を比較し、あなたに最適なアプリを見つけるための参考にしてください。
アプリ名 | 種類 | 取引機能 | 特徴的な機能 | 主な対象ユーザー |
---|---|---|---|---|
Coincheck | 取引所公式 | あり | シンプルなUI、豊富な取扱通貨、見やすいチャート | 初心者、長期保有メイン |
bitFlyer | 取引所公式 | あり | Lightning(高機能取引ツール)、セキュリティの高さ | 初心者〜上級者、PC取引も重視する人 |
DMM Bitcoin | 取引所公式 | あり | レバレッジ取引に特化、独自ツール、豊富な注文方法 | レバレッジ取引をメインにしたいトレーダー |
GMOコイン | 取引所公式 | あり | 多機能ツール、入出金手数料無料、オリコン顧客満足度No.1 | コストを抑えたいトレーダー、様々な取引をしたい人 |
bitbank | 取引所公式 | あり | TradingView搭載、豊富なアルトコイン、板取引が充実 | テクニカル分析を重視するトレーダー、アルトコイン取引 |
CoinMarketCap | 分析専門 | なし | 膨大な通貨データ、強力なポートフォリオ管理 | 情報収集・分析を重視する全レベルのユーザー |
CoinGecko | 分析専門 | なし | 詳細な通貨データ、DeFi/NFT情報が豊富、独自指標 | データ分析好き、最新トレンドを追うユーザー |
TradingView | 分析専門 | 一部連携可 | 最強のチャートツール、圧倒的な指標・描画ツール数 | 本格的なテクニカル分析を行いたい全トレーダー |
GoCharting | 分析専門 | 一部連携可 | 高度なチャートタイプ(オーダーフローなど)、プロ向け | 板情報・出来高を詳細に分析したい上級者・プロ |
TabTrader | 分析専門 | 連携可 | 複数取引所を一元管理、モバイル特化、高速動作 | モバイルメインで複数の取引所を使い分けるトレーダー |
① Coincheck(コインチェック)
特徴
「初心者人気No.1」とも言われる国内大手取引所、コインチェックの公式アプリです。最大の魅力は、誰でも直感的に操作できる圧倒的な使いやすさと、洗練されたシンプルなデザインにあります。チャート画面は非常に見やすく、通貨の選択から売買までが数タップで完結するため、仮想通貨取引が初めての人でも迷うことなく利用を開始できます。また、国内取引所の中でもトップクラスの取扱通貨数を誇り、様々なアルトコインへの投資機会を提供しています。
チャート機能自体はシンプルですが、時間足の切り替えや価格の確認といった基本的な操作はスムーズに行えます。複雑な分析よりも、「まずは買ってみたい」「保有資産の価格を簡単に確認したい」というニーズに完全に応えてくれるアプリです。
こんな人におすすめ
- これから仮想通貨取引を始めようとしている完全な初心者
- 難しい機能は不要で、とにかく簡単に売買したい人
- ビットコイン以外の様々なアルトコインにも投資してみたい人
- 長期保有をメインに考え、日々の価格チェックを手軽に行いたい人
② bitFlyer(ビットフライヤー)
特徴
国内最大級の仮想通貨取引所であるbitFlyerが提供する公式アプリです。このアプリの特徴は、シンプルな「販売所」モードと、プロ向けの取引ツール「bitFlyer Lightning」を使い分けられる点にあります。「販売所」では初心者でも簡単に仮想通貨を売買でき、一方で「bitFlyer Lightning」に切り替えれば、PC版さながらの豊富な注文方法やテクニカル分析が可能な高機能チャートを利用できます。
長年にわたる運営実績と、業界最高水準とも言われる強固なセキュリティ体制も大きな安心材料です。一つのアプリで初心者から上級者まで、幅広いレベルのトレーダーのニーズに対応できる完成度の高いアプリと言えます。
こんな人におすすめ
- まずは簡単な取引から始め、将来的には本格的なトレードにも挑戦したい人
- セキュリティの高さを重視する人
- スマートフォンだけでなく、PCでも高機能な取引ツールを使いたい人
③ DMM Bitcoin
特徴
DMM.comグループが運営するDMM Bitcoinの公式アプリは、レバレッジ取引に特化している点が大きな特徴です。現物取引できる通貨は限られますが、レバレッジ取引では国内最多クラスの通貨ペアに対応しています(参照:DMM Bitcoin公式サイト)。チャート画面は、スピード注文機能も備えたSTモードと、PC版に近い高度な分析が可能なEXモードを切り替えることができます。
特にEXモードでは、4分割チャート表示や多彩なテクニカル指標、描画ツールを利用でき、本格的な分析が可能です。また、LINEでのカスタマーサポートなど、サポート体制が手厚いのも魅力の一つです。
こんな人におすすめ
- レバレッジを効かせた積極的な取引をメインに考えている人
- 豊富な種類のアルトコインでレバレッジ取引をしたい人
- PC版と同等の高機能なツールをスマホでも使いたい人
④ GMOコイン
特徴
GMOインターネットグループが運営するGMOコインの公式アプリは、多機能性とコストパフォーマンスの高さで人気を集めています。アプリ内には「ノーマルモード」と「トレーダーモード」があり、ユーザーのレベルに合わせてインターフェースを切り替えられます。トレーダーモードでは、TradingViewの高機能チャートは利用できませんが、描画機能付きのチャートやスピード注文など、取引に必要な機能がコンパクトにまとまっています。
最大の強みは、日本円の即時入金や出金、仮想通貨の預入・送付といった各種手数料が無料であること(参照:GMOコイン公式サイト)。取引コストを極力抑えたいユーザーにとって、非常に大きなメリットとなります。オリコン顧客満足度調査でNo.1を獲得するなど、ユーザーからの評価も高い取引所です。
こんな人におすすめ
- 取引手数料や入出金手数料などのコストを少しでも抑えたい人
- 現物取引、レバレッジ取引、暗号資産FXなど、様々な取引方法を一つのアプリで試したい人
- 使いやすさと機能性のバランスが取れたアプリを求める人
⑤ bitbank(ビットバンク)
特徴
「本格的なテクニカル分析をスマホで行いたい」というトレーダーに最もおすすめしたいのが、bitbankの公式アプリです。その理由は、世界中のトレーダーが愛用する高機能チャートツール「TradingView」をアプリ内に標準搭載しているからです。これにより、60種類以上のテクニカル指標や豊富な描画ツールを、アプリを切り替えることなく利用できます。
また、bitbankはアルトコインの取引量が国内でトップクラスに多く、板取引(ユーザー同士が売買する取引所形式)が活発なため、有利な価格で取引しやすいというメリットもあります。分析を重視し、アクティブに取引したいユーザーにとって、理想的な環境を提供してくれるアプリです。
こんな人におすすめ
- スマートフォンアプリで本格的なテクニカル分析を完結させたい人
- TradingViewの使い慣れた環境で取引したい人
- 様々なアルトコインを、スプレッドの狭い「取引所」形式で売買したい人
⑥ CoinMarketCap
特徴
世界で最も利用されている仮想通貨データアグリゲーター(情報集約サイト)の一つ、CoinMarketCapの公式アプリです。取引機能はありませんが、情報収集とポートフォリオ管理において絶大な威力を発揮します。1万種類を超える仮想通貨の価格、時価総額、チャート、関連ニュースなどを網羅しており、このアプリ一つで市場のほぼ全ての情報を手に入れることができます。
特に強力なのがポートフォリオ管理機能です。複数の取引所やウォレットの保有資産を手動で入力するだけで、資産全体の状況を一元的に把握できます。どの通貨がどれだけ値上がりしたか、資産全体に占める割合はどれくらいか、といった情報をグラフで視覚的に確認できます。
こんな人におすすめ
- とにかく幅広い仮想通貨の情報を収集したい人
- 複数の取引所やウォレットに資産が分散しており、一元管理したい人
- 取引よりも、市場全体の動向把握や情報分析をメインに行いたい人
⑦ CoinGecko
特徴
CoinMarketCapと双璧をなす、人気の仮想通貨データプラットフォームです。基本的な機能はCoinMarketCapと似ていますが、CoinGeckoはDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)といった、より新しい分野の情報に強いという特徴があります。各プロジェクトの信頼性を評価する「トラストスコア」など、独自の指標も提供しており、より深くデータを分析したいユーザーから支持されています。
インターフェースも洗練されており、動作も軽快です。日々の情報収集の一環として、ログインボーナス(キャンディー)を集めて特典と交換するといった、ゲーム感覚で楽しめる要素も備えています。
こんな人におすすめ
- DeFiやNFTなど、仮想通貨の最新トレンドを追いかけたい人
- より詳細でマニアックなデータや分析指標を求めている人
- CoinMarketCapと併用して、多角的な情報収集を行いたい人
⑧ TradingView(トレーディングビュー)
特徴
「チャート分析ツールといえばTradingView」と言われるほど、世界中のトレーダーにとってのデファクトスタンダードとなっているプラットフォームです。そのアプリ版は、PC版の強力な機能をスマホでも利用できるようにしたものです。100種類を超える内蔵インジケーター、10万種類以上のコミュニティ作成インジケーター、50種類以上の描画ツールなど、その機能性は他の追随を許しません。
また、仮想通貨だけでなく、株式、為替(FX)、商品先物など、あらゆる金融商品のチャートを分析できるのも大きな強みです。一部の海外取引所とはAPI連携による取引も可能。本気でテクニカル分析を極めたいのであれば、必須のアプリと言えるでしょう。
こんな人におすすめ
- とにかく最高峰のチャート分析環境を求めるすべての人
- プロのトレーダーと同じツールを使って分析したい人
- 仮想通貨だけでなく、株やFXなど他の金融商品も取引する人
⑨ GoCharting
特徴
TradingViewよりもさらに一歩踏み込んだ、プロ・上級者向けの高度な分析ツールを提供するプラットフォームです。GoChartingの最大の特徴は、一般的なローソク足チャートに加えて、「オーダーフロー」や「マーケットプロファイル」、「ボリュームプロファイル」といった、市場の内部構造を分析するための特殊なチャートタイプを利用できる点です。
これらのツールを使いこなすことで、大口投資家の動向や価格帯別の出来高(取引量)を詳細に分析し、より精度の高いトレード戦略を立てることが可能になります。機能は非常に高度で専門的ですが、トレードの腕をさらに磨きたい上級者にとっては強力な武器となります。
こんな人におすすめ
- TradingViewの機能では物足りなさを感じている上級者・プロトレーダー
- 板情報や出来高、約定履歴(オーダーフロー)を詳細に分析したい人
- 市場参加者の心理や行動を読み解く、より深いレベルの分析に挑戦したい人
⑩ TabTrader
特徴
モバイルでのトレーディングに特化した、非常に人気の高いアプリです。30以上の主要な仮想通貨取引所(Binance, Bybit, Krakenなど)に対応しており、APIキーを使って連携させることで、このアプリ一つで複数の取引所の口座を一元管理し、取引を完結させることができます。
動作は非常に軽快で、チャート表示や注文実行も高速です。プッシュ通知によるアラート機能も強力で、外出先でもストレスなくアクティブな取引が可能です。テクニカル分析ツールも一通り揃っており、まさに「モバイルトレーディングターミナル」と呼ぶにふさわしいアプリです。
こんな人におすすめ
- スマートフォンをメインの取引環境としているアクティブトレーダー
- 複数の海外取引所などを使い分けており、一つのアプリで管理・取引したい人
- アプリの軽快さや動作の速さを重視する人
仮想通貨チャートアプリを利用するメリット
仮想通貨チャートアプリをスマートフォンにインストールすることは、もはや単なる利便性の向上に留まりません。それは、トレーダーとしてのパフォーマンスを根本から引き上げる可能性を秘めています。ここでは、アプリを利用することで得られる3つの大きなメリットを深掘りしていきます。
いつでもどこでも価格をチェックできる
これが仮想通貨チャートアプリがもたらす最大の恩恵と言っても過言ではありません。仮想通貨市場は、株式市場のように取引時間が決まっておらず、24時間365日、世界中で取引が続けられています。あなたが寝ている間も、仕事をしている間も、市場は絶えず変動しています。
- 隙間時間の有効活用: 通勤中の電車内、昼休みの休憩時間、友人との待ち合わせの合間など、日常生活の中に存在するわずかな「隙間時間」を、市場チェックの時間に変えることができます。これにより、市場の大きな流れや、保有している通貨の状況を常に把握しておくことが可能になります。
- 心理的な安心感: 「自分がチャートを見ていない間に、何か大きな変動があったらどうしよう」という不安は、多くのトレーダーが抱えるストレスの一因です。手元のスマートフォンでいつでもすぐに状況を確認できるという事実は、この種の不安を和らげ、精神的な安定をもたらします。重要な経済指標の発表後や、市場が荒れている時でも、すぐに現状を把握できる安心感は計り知れません。
- 情報へのアクセシビリティ: 多くのアプリにはニュースフィード機能が統合されています。価格変動の背景にある重要なニュースや、業界の最新トレンドに関する情報を、価格チャートと合わせて手軽に確認できます。これにより、価格の動き(What)とその理由(Why)を結びつけて考える癖がつき、分析の深度が増します。
PCの前に座らなければ市場に参加できなかった時代とは異なり、アプリは私たちの生活と市場をシームレスに繋ぎ、常に情報にアクセスできる環境を提供してくれるのです。
チャンスを逃さず取引できる
価格をいつでもチェックできることの、より実践的なメリットが「取引機会の最大化」です。仮想通貨市場はボラティリティ(価格変動率)が非常に高く、短時間で大きな利益を得るチャンスが生まれる一方で、一瞬の判断の遅れが大きな損失に繋がるリスクも併せ持っています。
- アラート機能との連携: このメリットを最大化するのがアラート(価格通知)機能です。例えば、「このレジスタンスラインを上抜けたら買い」「このサポートラインを割ったら損切り」といった戦略を立てている場合、その価格にアラートを設定しておきます。すると、PCの前にいなくても、スマートフォンへの通知をきっかけにアプリを開き、数タップで注文を実行できます。 これにより、エントリーや利確、損切りのタイミングを逃す確率を劇的に減らすことができます。
- 急な市場変動への即時対応: 週末や深夜に、特定の著名人の発言や規制に関するニュースなどをきっかけに、市場が急騰・急落することがあります。こうした予期せぬ事態においても、チャートアプリがあれば即座に状況を把握し、ポジションを調整するなどの対応が可能です。PCを起動する時間すらないような状況では、アプリの機動力がそのままリスク管理能力に直結します。
- 取引所公式アプリの優位性: 特にCoincheckやbitFlyerといった取引所公式アプリは、分析から注文までが一つのアプリ内で完結するため、この「チャンスを逃さない」という点で非常に優れています。分析専門アプリでチャンスを見つけ、そこから取引所アプリに切り替えるという数秒のタイムラグすら惜しい短期トレーダーにとっては、必須のツールと言えるでしょう。
チャートアプリは、受動的に価格を眺めるためのツールではなく、市場の好機を能動的に掴み取りにいくための強力な武器なのです。
高度なチャート分析ができる
かつて「スマートフォンでできる分析は簡易的なもの」というイメージがありましたが、それはもはや過去の話です。技術の進歩により、現在ではPCに匹敵する、あるいはそれ以上の高度なチャート分析がスマートフォン上で可能になっています。
- TradingViewの普及: この変化の最大の立役者が「TradingView」です。bitbankのようにTradingViewを標準搭載した取引所アプリや、TradingView自体の公式アプリを使えば、スマートフォンでも数十種類以上のテクニカル指標や、複雑な描画ツールを駆使したプロレベルの分析ができます。移動平均線やMACDはもちろん、一目均衡表やフィボナッチ・リトレースメントなど、あらゆる分析手法に対応可能です。
- マルチデバイスでの同期: さらに強力なのが、PC版との設定同期機能です。自宅の大きなPCモニターでじっくりとトレンドラインや分析シナリオを描き込み、その設定が自動でスマートフォンアプリに同期されます。外出先では、そのPCで描いたラインを基準に値動きをチェックし、取引判断を下すことができます。これにより、いつでもどこでも一貫性のある分析を継続できるようになり、分析の精度が格段に向上します。
- 分析スキルの向上: 手軽に高度なツールに触れられる環境は、トレーダー自身の分析スキル向上にも繋がります。「この指標は何を意味するんだろう?」「この描画ツールはどうやって使うんだろう?」といった興味から、新しい分析手法を学び、実践で試すハードルが大きく下がります。アプリを通じて様々なツールを試行錯誤する中で、自然と自分に合った分析スタイルが確立されていくでしょう。
もはや「外出先だから本格的な分析はできない」という言い訳は通用しません。チャートアプリは、あなたの分析能力を時と場所の制約から解放してくれるのです。
仮想通貨チャートアプリを利用する際の注意点
仮想通貨チャートアプリは非常に便利なツールですが、その利便性の裏にはいくつかの注意すべき点も存在します。これらのデメリットやリスクを正しく理解し、適切に対処することで、アプリをより安全かつ効果的に活用できます。
通知の頻度が多くなる可能性がある
いつでもどこでも市場にアクセスできるというメリットは、諸刃の剣でもあります。特にアラート機能は、使い方を誤ると日常生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 通知疲れ(Notification Fatigue): 複数の通貨に対して、少しの値動きでも反応するような細かすぎるアラートを多数設定してしまうと、スマートフォンの通知が鳴り止まない状態に陥ることがあります。頻繁な通知は集中力を削ぎ、仕事やプライベートな時間にまでトレードのことが頭をよぎる原因となります。これが続くと、精神的に疲弊してしまう「通知疲れ」を引き起こしかねません。
- 「ポジポジ病」の助長: 常に価格変動の情報にさらされていると、「何か取引をしなければ」という焦燥感に駆られ、明確な根拠がないにもかかわらずポジションを持ってしまう、いわゆる「ポジポジ病」を誘発する危険性があります。不要な取引は手数料の無駄遣いになるだけでなく、大きな損失を招く原因にもなります。
- 対策:
- アラートを厳選する: 通知設定は、本当に重要な局面(長期的なサポート/レジスタンスライン、週足レベルでのシグナルなど)に絞り込みましょう。「なんとなく」で設定するのは避けるべきです。
- 通知を管理する: スマートフォンの「おやすみモード」や「集中モード」を活用し、仕事中や就寝中など、トレードから離れたい時間帯はアプリの通知をオフに設定することをおすすめします。
- 冷静な判断を心がける: 通知が来たからといって、すぐに飛びつくのは禁物です。一度深呼吸をし、なぜその価格に達したのか、より大きな時間足でのトレンドはどうなっているかなど、冷静に状況を再分析する癖をつけましょう。
アプリに振り回されるのではなく、あくまで自分がアプリをコントロールするという意識を持つことが重要です。
分析ツールが多すぎて使いこなせない場合がある
TradingViewをはじめとする高機能アプリは、数百種類ものテクニカル指標や描画ツールを提供しており、これは大きな魅力です。しかし、初心者や分析に慣れていない人にとっては、その豊富さが逆に混乱を招く原因となることもあります。
- 分析麻痺(Analysis Paralysis): チャート上にあまりにも多くのインジケーターを表示させると、それぞれが異なる売買サイン(Aは「買い」、Bは「売り」、Cは「様子見」など)を示し、結局どう判断すればよいのか分からなくなってしまうことがあります。これを「分析麻痺」と呼び、行動を起こせなくなるだけでなく、自分の判断に自信が持てなくなる原因にもなります。
- ツールの誤用: 各テクニカル指標には、得意な相場(トレンド相場に強い、レンジ相場に強いなど)や、正しい使い方があります。その特性を理解せずに闇雲に使うと、誤ったシグナルに惑わされ、損失に繋がる可能性があります。
- 対策:
- シンプル・イズ・ベスト: まずは、最も基本的で多くのトレーダーに使われている指標(移動平均線、MACD、RSIなど)を2〜3個に絞って使い始めましょう。チャート画面はできるだけシンプルに保つことが、本質的な値動きを捉えるコツです。
- 一つずつマスターする: 新しい指標を試す際は、一度に複数導入するのではなく、一つずつその特性や使い方をじっくりと学びましょう。過去のチャートでどのように機能したか(バックテスト)を確認することも有効です。
- 自分の「武器」を見つける: 数あるツールの中から、自分のトレードスタイルや性格に合った、信頼できるいくつかのツールを見つけ出し、それを使いこなすことを目指しましょう。全てのツールを使いこなす必要は全くありません。
豊富なツールはあくまで選択肢であり、自分にとって最適な組み合わせを見つけることが成功への近道です。
通信環境によって動作が不安定になることがある
リアルタイム性が命であるチャートアプリは、その性能を最大限に発揮するために安定したインターネット接続を必要とします。通信環境が悪い場所では、思わぬリスクに直面することがあります。
- 情報の遅延: 電波の弱い場所(地下、トンネル内、山間部など)では、チャートの更新が遅れたり、一時的に停止したりすることがあります。表示されている価格が数秒〜数分前の古い情報であることに気づかず、誤った判断を下してしまうリスクがあります。
- 注文の失敗: 取引機能付きのアプリで注文を出そうとした際に、通信エラーで注文が通らない(失注する)ことがあります。特に、一刻を争うスキャルピングや、暴落時の損切り注文が通らない場合は、致命的な損失に繋がる可能性があります。
- 対策:
- 安定した環境で取引する: 新規のポジションを持つ、あるいは決済するといった重要な取引操作は、できるだけWi-Fi環境下など、通信が安定している場所で行うように心がけましょう。
- リスクを認識する: 移動中など、通信が不安定になる可能性のある場所でアプリを操作する際は、「情報が遅延しているかもしれない」「注文が通らないかもしれない」というリスクを常に念頭に置くことが重要です。
- 再確認の徹底: 注文後は、必ずアプリの取引履歴やポジション一覧画面で、注文が意図した通りに約定しているかを再確認する癖をつけましょう。
アプリの利便性に頼り切るのではなく、その動作の前提となる通信環境への配慮を忘れないようにしましょう。
初心者向け|チャート分析の基本
仮想通貨チャートアプリを手に入れたら、次はいよいよチャート分析の世界への第一歩です。ここでは、分析の最も基本的な要素である「ローソク足」の見方と、世界中のトレーダーが利用している代表的な「テクニカル指標」を3つ紹介します。これらを理解するだけで、チャートから得られる情報量が格段に増えるでしょう。
ローソク足の見方
チャートを構成する一本一本の棒のような図形を「ローソク足」と呼びます。これは、一定期間(1分、1時間、1日など)の値動きを「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの価格(四本値)で表現したものです。形がローソクに似ていることからこの名が付きました。
陽線と陰線
ローソク足には主に2つの色があり、それぞれが価格の上昇と下落を示しています。
- 陽線(ようせん): 一般的に白や緑、赤などで表示されます。これは、期間の始まりの価格(始値)よりも、終わりの価格(終値)の方が高かったことを意味します。つまり、その期間は価格が上昇したということです。買いの勢いが強かったことを示唆します。
- 陰線(いんせん): 一般的に黒や赤、青などで表示されます。(※陽線を赤、陰線を青/緑で表示する設定が多いため、色だけで判断せず、どちらが上昇/下落を意味するかをアプリの設定で確認することが重要です)。これは、始値よりも終値の方が低かったことを意味します。つまり、その期間は価格が下落したということです。売りの勢いが強かったことを示唆します。
この陽線と陰線が連続することで、市場全体の大きなトレンド(上昇トレンド、下降トレンド)が形成されます。
実体とヒゲ
ローソク足は、太い四角の部分である「実体」と、そこから上下に伸びる細い線である「ヒゲ」で構成されています。
- 実体(じったい): 始値と終値の間の価格範囲を示します。実体が長い(大きい)ほど、その期間の値動きが大きかったことを意味します。陽線なら上昇の勢いが強く、陰線なら下落の勢いが強いと解釈できます。
- ヒゲ:
- 上ヒゲ: 実体の上部に伸びる線で、期間中の最高値(高値)を示します。一度はその価格まで上昇したものの、売りに押されて終値が下がったことを意味します。上ヒゲが長いほど、高値圏での売り圧力の強さを示唆します。
- 下ヒゲ: 実体の下部に伸びる線で、期間中の最安値(安値)を示します。一度はその価格まで下落したものの、買いに支えられて終値が上がったことを意味します。下ヒゲが長いほど、安値圏での買い圧力の強さを示唆します。
これらの組み合わせを見ることで、「上昇の勢いが強い」「売り買いが拮抗している」「下落が買い支えられている」といった、市場参加者の心理状態を読み解くことができます。
代表的なテクニカル指標
ローソク足の動きをさらに分かりやすく、客観的に分析するために用いるのが「テクニカル指標」です。ここでは、最も基本的で重要な3つの指標を紹介します。
移動平均線 (Moving Average, MA)
一定期間の終値の平均値を計算し、それを線で結んだものです。最もシンプルで人気のあるトレンド系の指標です。
- 見方:
- トレンドの方向性: 移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド、横ばいならレンジ相場(方向感のない相場)と判断できます。価格(ローソク足)が移動平均線より上にあれば強い相場、下にあれば弱い相場と見なされます。
- ゴールデンクロス: 期間の短い移動平均線(例: 25日線)が、期間の長い移動平均線(例: 75日線)を下から上に突き抜ける現象。強力な買いサインとされ、本格的な上昇トレンドの始まりを示唆することがあります。
- デッドクロス: 短期線が長期線を上から下に突き抜ける現象。強力な売りサインとされ、本格的な下降トレンドの始まりを示唆することがあります。
MACD(マックディー)
Moving Average Convergence Divergenceの略で、日本語では「移動平均収束拡散」と訳されます。2本の移動平均線(MACDラインとシグナルライン)を用いて、トレンドの転換点や相場の勢いを判断するのに役立つ指標です。
- 見方:
- ゴールデンクロス: MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜けた時。買いサインとされます。
- デッドクロス: MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けた時。売りサインとされます。
- ヒストグラム: 2本のラインの乖離(差)を棒グラフで示したものです。ヒストグラムが0ラインより上で増加している時は上昇の勢いが強く、0ラインより下で増加(マイナス幅が拡大)している時は下落の勢いが強いと判断できます。
MACDは移動平均線よりも早くシグナルが出やすいという特徴があります。
RSI(相対力指数)
Relative Strength Indexの略で、現在の相場が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを判断するためのオシレーター系の指標です。0%から100%の範囲で示されます。
- 見方:
- 買われすぎ: RSIが70%〜80%以上のゾーンに入ると、相場が過熱して「買われすぎ」の状態と判断されます。これは、そろそろ価格が反落する可能性を示唆しており、売りのサインと見なされることがあります。
- 売られすぎ: RSIが20%〜30%以下のゾーンに入ると、相場が「売られすぎ」の状態と判断されます。これは、そろそろ価格が反発する可能性を示唆しており、買いのサインと見なされることがあります。
ただし、強いトレンドが発生している時はRSIが高い(または低い)まま推移し続けることもあるため、RSIだけで判断せず、移動平均線などのトレンド系指標と組み合わせて使うことが重要です。
仮想通貨チャートアプリに関するよくある質問
ここでは、仮想通貨チャートアプリを使い始めるにあたって、多くの人が抱くであろう疑問についてQ&A形式で回答します。
無料で使えるおすすめのアプリは?
A. 結論から言うと、ほとんどの主要なチャートアプリは無料で基本的な機能を利用できます。 その上で、目的別におすすめを挙げると以下のようになります。
- 初心者が取引もしたい場合: CoincheckやbitFlyerの公式アプリがおすすめです。シンプルな操作性で、口座を開設すれば取引機能も含めて無料で利用できます。まずはこれらのアプリで仮想通貨の売買とチャートの基本に慣れるのが良いでしょう。
- 本格的な分析を無料で試したい場合: TradingViewの無料プランが最適です。表示できるインジケーターの数(3つまで)や設定できるアラートの数に制限はありますが、その強力な描画機能や操作性は十分に体験できます。また、bitbankのアプリはTradingViewを搭載しており、こちらも口座開設すれば無料で高度な分析が可能です。
- 情報収集やポートフォリオ管理が目的の場合: CoinMarketCapやCoinGeckoがおすすめです。これらのアプリは、ほぼ全ての機能を無料で利用でき、膨大なデータにアクセスできます。
まずは無料アプリをいくつか試してみて、自分のスタイルに合うものを見つけるのが最も効率的な方法です。
PCで使えるおすすめのツールは?
A. PCでの利用をメインに考える場合も、目的によっておすすめは異なります。
- チャート分析の決定版: TradingViewのWebブラウザ版またはデスクトップアプリが、機能性、操作性、対応市場の広さなど、あらゆる面で最もおすすめです。大画面で複数のチャートレイアウトを駆使すれば、スマホアプリとは比較にならないほど効率的な分析が可能です。
- 取引も重視する場合:
- bitFlyer Lightning: プロトレーダー向けに設計された高機能ツールで、板情報を見ながらスピーディーな取引が可能です。
- bitbank: PC版でもTradingViewを搭載しており、高度な分析と取引をシームレスに行えます。
- DMM Bitcoin: レバレッジ取引に特化した高機能ツールを提供しており、4分割チャートなど、分析しやすい環境が整っています。
多くのアクティブトレーダーは、PCのTradingViewで詳細な分析を行い、実際の取引は各取引所のツールで行うというスタイルを取っています。
チャート分析はスマホだけで十分?
A. 「十分かどうか」は、あなたのトレードスタイルによります。
- スマホだけで十分なケース:
- 長期保有がメインで、日々の価格チェックや簡単なトレンド確認ができれば良い場合。
- 外出先での取引がメインで、あらかじめ決めておいた戦略に基づいたエントリー/決済を行う場合。
- bitbankやTradingViewアプリを使いこなし、スマホでの分析に慣れている場合。
- PCの方が有利なケース:
- 複数の時間足や複数の通貨ペアのチャートを同時に比較分析したい場合。
- トレンドラインやフィボナッチなどを、ピクセル単位で正確に描画したい場合。
- バックテストや複雑なインジケーターのパラメータ設定など、詳細な作業を行う場合。
結論として、日常的なチェックや取引はスマホで十分可能ですが、戦略を練ったり、詳細な分析を行ったりする際には、画面が大きく作業領域の広いPCの方が圧倒的に有利です。両方を賢く使い分けるのが理想的と言えるでしょう。
複数のアプリを併用するべき?
A. はい、 積極的に併用することをおすすめします。 複数のアプリを使い分けることで、それぞれの長所を活かした、より高度で安全なトレーディング環境を構築できます。
- 役割分担による効率化:
- 取引・入出金用: メインで使う取引所の公式アプリ(例: Coincheck, bitFlyer)
- 詳細な分析用: TradingView
- 情報収集・ポートフォリオ管理用: CoinMarketCap, CoinGecko
上記のように役割を分けることで、一つのアプリに全ての機能を求める必要がなくなり、各分野で最も優れたツールを利用できます。
- リスク分散:
- 万が一、メインで使っている取引所がサーバーダウンやメンテナンスで利用できなくなった場合でも、他の分析アプリで市場の状況を確認したり、別の取引所アプリで取引したりすることが可能です。
- 表示される価格やチャートは取引所ごとに微妙に異なるため、複数の情報源を比較することで、より正確な市場認識を持つことができます。
最初は一つのアプリに慣れることから始めるのが良いですが、取引に慣れてきたら、ぜひ複数のアプリを導入して、自分だけの最強のトレーディング環境を構築してみてください。